学校へ行かない 行けない

 子供が学校へ行かなくなったならいい機会です。今まで常識だと考えていたことをもう一度見直してみましょう。

子供は学校へ行くもの!? 親は子供を学校へ行かせる義務があります。しかしこれは子供が学校へ行かない、行きたくない時、強制的に連れていかなくてはいけないのではありません。子供が学校へ行きたいのに、行かせない親に対しての話です。

学校は楽しい!? 当然楽しくないから行きたくないのです。こう言うと “しんどくても我慢していかないと”という方がいます。さて、学校は楽しいのでしょうか。苦しいのでしょうか。

学校へ行かない子は根性がない!? 昔根性をたたき込まれた青年は、戦争へ行って死にました。今必死で働いたお父さんは過労死です。フーテンの寅さんや、釣りの好きな浜ちゃんは決して根性を出しません。根性がない人生の方が良いかもしれないのです。

親が甘やかすから学校へ行かない!? 小児の精神発達の面からは甘やかすことは非常に良いことです。安定した親子関係を作り、穏やかで優しい性格の子供になります。心身症の治療もまず抱っこしてやったり話をよく聞いてやることから始まります。

不登校の子供は、教師が家庭訪問して、登校させるべき!? 家は不登校の子にとって唯一安心していられる場所です。そこに学校の先生が行くのはやめるべきです。子供から最後の逃げ場をなくしたらパニックになるだけです。どうしても子供に会いたいのなら、電話で子供から許可をもらって約束の時間に行くべきです。

学校の様子、宿題などを友達から言ってもらう!? これは友達が学校の手先になることを意味しています。友達にさえ裏切られた、という孤独感を与えるだけです。第一先生に頼まれていく友達も楽しいはずがありません。本当の友達なら、遊びに行っても本人がいやがる学校の話はしないはずです。

親は子供の見方!? 子供から見れば生まれて最初に出会う敵は親なのです。これを第一次反抗期と言います。“それはだめ”とか“早くしなさい”とかの禁止や命令ばかり言ってはいませんか?“手伝って欲しいんだけど”とか“なかなか上手になってきた”とかのお願いやおだてて褒めることをしてやってください。

親は子供のために何かしてやらないと!? “あなたのためを思って”という親のせりふが、子供にとって一番うっとうしいのです。子供が大きくなってくると、親が子供にしてやれることは本当に少ないものです。ある不登校の子の親は「猫のように子供と一緒に生活するのが良い」とはなしていました。含蓄のある言葉です。

学校へ行かないと無駄に時間が過ぎる!? 生きている以上、何かを考え何かをしています。それは今の社会では役に立たないことなのかもしれません。しかしテレビゲームばかりしていても、子供のエネルギーは地下のマグマのようにいつか必ず噴出してきます。

学校へ行くことは良いこと、行かないことは悪いこと!? みんなが行く学校が出来た約100年前、その目的は富国強兵と、士農工商に替わる新たな身分制、エリートを作ることでした。つまり立身出世を遂げた少数の者と、それに文句を言わず従っていく多数の者を作る場が学校だったのです。これは今言葉を変え受験戦争と管理教育になっています。一方身分相応という考えがあります。これは江戸時代の身分制度を固定化するためのものでしたが、果 てしない競争社会に対抗する考えとしてもう一度採用してみては如何でしょうか。

不登校で困ったと思ったら、当医院にご相談ください。高知には「学校に行かない子を持つ親の会KOCHI」もあります。