嘔吐(はく)

 よくある症状で一番困るのが吐くことです。 薬は飲めなくなるし、すぐに点滴が必要になります。まれには重大な病気が原因のこともあります。
子供の吐く原因を1.胃腸 2.肺 3.頭、に分けて説明しましょう。

(原因)

1.胃腸 原因をさらに2つに分けます。 ひとつは働きが落ちたもので、食べ過ぎ(消化不良)、 急に熱が出た時、食中毒、流行性嘔吐下痢症 (乳児嘔吐下痢症)、急性胃炎、重症な便秘などです。 もうひとつは手術が必要なもので、消化管の閉塞・峡窄・虫垂炎(もうちょう)、腸重積などです。

2.肺 気管支炎、肺炎、喘息発作などで呼吸困難になって食事ができないとき、無理に飲んだり食べたりすると吐くことになります。(咳込んでギョッとなって吐くのはかまいません)

3.頭 原因が本当に頭だと重症な病気が考えられます。“吐く”のと高熱があれば髄膜炎、頭を強く打ったあとなら,脳震盪(のうしんとう)・頭蓋内(ずがいない)出血、元気がないなら脳腫瘍のこともあります。 けいれんをおこしたときに吐くこともあります。

4.その他 精神的なストレス(緊張)で吐くこともありますので、思い当たるストレスがあれば取り除いてあげてください。車酔い、船酔い、激しい運動の時、ぐるぐる回った時などは、原因がはっきりしていますよね。

(合併症)

1.低血糖 人間には吐いて食べられない時、皮下脂肪から糖を作って、体の糖分 (血糖) を一定に保つ仕組みがあります。しかし、小さい子はその仕組みが弱く、吐いて食事がとれないとすぐ低血糖になります。 また、 低血糖になるとますます、吐いてぐったりしてきます。 ひどい時は意識がなくなり、けいれんします。

2.脱水  少しぐらい食べないだけなら脱水にはなりませんが、 吐くときにはすぐに脱水になってしまいます。 この程度を調べるにはまず尿です。”脱水かな?”と思ったらおしっこを持ってきてください。

(処置・治療)

  吐く時は、静かに寝かせておきます。 数時間して吐き気がおさまれば飴(あめ)・砂糖をなめさせます。 それを吐かなかったらぬくい水分(スープ・ぬくいカルピス・砂糖水など)を少しずつ飲ませてください。
  吐かないと思ってどんどん飲ませていると、胃にたまっていて、またガバッともどすので、子供の様子を見ながら加減してください。飲み薬も吐かなくなってからで、まずは吐き止めの座薬を使用します。低血糖や脱水になっていれば点滴をします。
喘息発作や虫垂炎などが原因の時は、その治療を同時に行います。