医者の評価

 病院や医者の評価は普通 患者さんからの評価をさすことが多いのですが、同業者としての医者から見た評価と、一緒に働いて内情を知っているその病院の職員からの評価も大切です。

1.患者さんの評価 いわゆるはやっている病院は患者さんにとって必要な病院のはずです。しかし患者さんにとって必ずしもよい病院だといえないこともあります。病院が近くには少なく、そこしかない状態のこともあります。最悪の言い方をすれば治さないから患者さんがたまって、流行っているように見える、ということもあるかもしれません。ただ医者としては、患者さんの評価は病院の経営面 からは非常に大切です。

2.医者同士の評価 開業医をし始めて感じたことは大部分の医師はまじめに仕事をしているということでした。ここで「大部分」ということは一部に「困ったちゃん」の医師がいるということです。そして「だいたい」というのは、私も含めて大部分の医師が時には患者さんにムカッとさせるような言動やミスをしてしまうということです。
 医師は医師同士で他の医師の悪い話をすることはあっても、患者さんに言うことはまずありません。 というのは個々の患者さんの病気の程度や考え方は千差万別で、すべての患者さんに悪い医師はありえないからです。
ただ、「困ったちゃん医師」が流行っている(=患者さんの評価はいい)時、知らずに受けている患者さんにそのことを言うべきか否か、悩んでしまいます。
 たとえば、喘息で子供にステロイドを内服させる医師が各県1~2人はいます。 アトピー性皮膚炎に高額なアトピーグッズを勧める医師がいます。自分の専門外の患者さんをいつまでも専門の医師に紹介せず、こじらしせてばかりの医師もいます。

3.職員の評価 患者の評価も悪くなく、医師の間でも一定の評価をされている医師が、 元職員から「あの病院は絶対嫌だ」といわれることがあります。 その職員自身にも問題があるかもしれませんが、医師が看護婦や事務員をどうみているかに問題がある場合もあります。昔は、医師の力=病院の力で、他のスタッフは医師の家来でした。今の医療体制は医師の個人的な能力以上のものが要求され、パラメディカルは、「同僚」です。すなわち医師にはできない「看護」を看護婦が行い、検査は検査技師が医師以上の能力を使い、 医師が知らない医療事務や情報開示を事務員がする、という具合です。医師は患者さんに関するデータを各スタッフから集め、自分の診察と総合して説明、治療にあたります。病院職員の医師、病院に対する評価とは患者さんへのパラメディカルとしての働きがいと、賃金、休暇などのいわゆる労働条件と、職員間の人間関係の良し悪しだと思います。患者さんからみてのこの職員の評価を知る一番手っ取り早い方法は職員の退職です。職員が定着せず、再々変わっている病院は職員の評判が悪いといえます。

4.正しい評価をするためには?! コンビニや スーパーは便利です。自分の欲しいものをかごに入れ、レジに出せば黙っていても買い物ができます。しかし、スーパーに何回行っても商品知識はほとんど増えません。個人の魚屋や八百屋に行くと、店の人と会話をし、 おすすめの品やおいしい食べ方を教えてくれます。 何回も通っていると魚のおろし方や珍しい野菜の名前も覚えてきます。消費者としての知識が増え、賢くなってきます。

 私は当院に来てくれる患者さんが、 少しずつ賢くなっていくような医療をしたいと思っています。正確な評価のためには患者さんも勉強して賢くなることが必要と思うからです。そのために薬の名前も書き、医療費の明細を渡し、検査結果 も渡しています。子供が病気になるたびに親が賢くなれば、考え方次第で病気も有意義になるかもしれませんね。