医療ミス

 起きてはいけないけれど必ず起こるのが医療ミスです。
その過失度を三つに分けてみます。

.単純ミス これは素人が見ても医者側が100%悪いものです。患者を取り違えて手術した、右足を手術するはずが左足を手術した、胃に注入する牛乳を血管の点滴に入れてしまった、血液型の違う血液を輸血した、麻酔で酸素と笑気の配管が逆だった。新生児をとり間違えた、など重大な結果 を招くものがあります。

  よくあるミスでは、患者さんがベットから落ちた、カルテが同姓同名の別の人だった。採血した血液を取り違えた、違う人の検査結果 が自分のカルテに貼られていた、もらった薬がよく似た名前の別の薬だった。はしか(麻疹)の予防接種にきたのに風疹の予防注射をされた、などなど。

B.医療レベルが低いためのミス 「後医は名医」という言葉があります。病気は経過を見ていくことが大切で、後になるほどよくわかるという意味です。最初の診察ですべて分かって欲しいという患者さんの、お気持ちはわからないではありませんが、そうはいきません。

「初めてかかった医者では風邪と言われたが、治らないので別の医者にみてもらったら結核で即入院になった。」等で、この時、最初の医師のミスは不可抗力で悪いとはいえません。

C.結果論のミス 受け持ちの患者さんが亡くなった場合、どんな病気であっても、あの時あの検査をしていたらとか、早くあの薬を使っていたらとか、必ず医師として反省すべき点があります。これらも、ミスといえばミスですが結果 論のことがほとんどでしょう。


 医療ミスを防ぐには?!

 Aのミスを防ぐには「チェックと確認」の繰り返ししかありません。書いて確認、みて確認、さらにしゃべって確認です。医療現場では黙々と仕事をするより、おしゃべりの職員のほうがミスを防げます。医者のする事、言う事、書く事をことごとくチェックし、小さな間違いも見逃さず医者を監視する看護婦がいいのです。事務員はさらにそれをチェックするのです。最後に患者本人、家族が薬を確認してお金を支払います。カルテの間違いや薬の間違いはこれで防げます。

 Bのミスを防ぐ為に、医師や職員は新しい知識を吸収するために学会に入り、講演会へ行ったり専門書を読んだりして勉強していきます。そして日常業務がマンネリにならないよう職員同士で勉強会などもしていきます。

 では、患者さん本人はどうすればいいのでしょうか?「何かおかしい」と思ったら黙ってないで医師や職員に聞いてください。納得できなかったら(医師としては言いにくいことですが)、医師(病院)を変えます。その際できるだけ紹介状を書いてもらいます。

 特に手術やしんどい検査の必要性に同意できない場合、他の医師の意見なども聞きたくなるのは当然のことですから、変な遠慮はいりません。

 ただ、紹介状を書いてもらわず、あっちこっちの病院を転々としている方をみかけますが、これでは医療レベルは上がらずに手遅れになる場合もありますので気をつけてください。

 cのミスは責任を問うことはできません。しかし、こういった避けられなかった失敗を検討することで医師の腕はよくなり、医療レベルが上がるのです。納得のいかない結末に歯がゆさを感じたり怒ったりすることもあると思いますが、なにとぞご協力をお願いいたします。