こうちぼにゅうのかい

高知母乳の会
第6号
発行日
2005.2.1
編集長
編集
:河野さゆり
:浜田康生
:橋田郁子
:竹内喜美恵
:岸田佐智
発 行:高知母乳の会 
会 長:福永寿則
事務局:田村こどもクリニック
〒783-0006
高知県南国市篠原1459-1
TEL088-863-0723

● 第5回高知母乳の会 総会・講演会開催
2004.11.14●●●
 松山市男女共同参画推進センター館長・吉村典子先生をお迎えして「からだの力はすご〜い」〜いいお産はいい母乳のはじまりです〜 をテーマに講演をして頂きました。多数の方に参加して頂きありがとうございました。
 講演の要旨を紹介された記事が昨年12月28日高知新聞に掲載されました。その中で、本来の講演趣旨とは違ったメッセージを読者に与えてしまう内容がありました。高知母乳の会会長より高知新聞社 編集局宛に以下の手紙を送らせて頂きました。高知母乳の会会員の皆様にも会の方針や考え方をより理解していただける内容だと思います。  

高知新聞社 編集局 御中    2005年1月4日

拝啓
 新春の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶 び申し上げます。
 日頃は、当「高知母乳の会」の活動紹介の記事や、高知県の母乳育児推進 、母子を中心に考えた周産期に関する記事など、母と子の幸せという視点からの記事を多く掲 載していただきありがとうございます。
 本日は、昨年末12月28日に掲載されました「吉村典子さん講演(要旨) 出産は人任せでなく」を読み、気づきました事を書かせていただきます。長い講演内容をよくまとめておられると思いますが、一部気になるところもあります。おそらく今後も、担当の記者様には高知母乳の会の活動や周産期に関するニュース・話題などを取り上げていただけるものと期待していますので、以下のことを御理解いただけると幸いです。 
 この講演は、昨年11月14日に「高知母乳の会」主催、高知新聞厚生文化事業団助成事業として行なわれたものと思います。記事の中に開催日時の記載がなかったのは、おそらく掲載日とのタイムラグが大きいためとは思われます。

  1. 『このほど、「県母乳の会」に招かれ、高知市内で講演。』という記載がありますが、当「高知母乳の会」は県の一機関ではなく、県とは関係のない、それ自体が一つの固有名詞です。
  2. 戦後の施策による出産の病医院集中、核家族化、地域社会(その人間関係)の崩壊により、それまで継承されてきたお産の文化・育児文化が断絶し、特に最近母親になる世代(およびその母親世代)の多くは病院任せ、医者任せのお産をしてきました。そして医療機関においては安全性を追及するあまり、産婦の心理面、母と子の絆、その後の育児に対する配慮のない分娩「管理」が行なわれてきました。

 これに対して、近年増加し大きな問題となっている児童虐待、親子関係の諸問題、青少年の犯罪の凶悪化などの検討から、児童精神医学の分野から、また小児科の側から分娩前後の親子関係の重要性、お産のあり方、ひいては母乳育児の重要性が叫ばれています
 吉村先生の講演は前半は御自身の履歴を通して、それまで男性・家に従属しているものとみなされていた女性が、自立し主体的に生きる事の困難さと重要性をお話されたと思います。引き続いて、出産も医者任せ・人任せではなく、 産婦が主体的に産むことの大切さを話されています。お産は人類の歴史で脈々と続いてきたものであり、本来女性のからだには安産する力が備わっている。ですから、自分のからだのその力を信じて、 からだの働きに素直にそってお産することの大事さをお話されたと思います。そのためには産婦が安全、安心、 快適性などの面から総合的に満足できる場で出産できること、そのような出産場所を産婦自身が選べるような社会になって欲しいとの 希望を述べられました。産婦自身による選択です。ただし、ここで誤解しないで頂きたいのは、言葉は悪いかもしれませんが産婦の 「浅い考え・自分勝手な好みによる選択」とは違います。一時流行った豪華な食事(フランス料理のコース)や美容師による サービスのある産院、あるいは入院中赤ちゃんを預かってくれて楽な産院、などを選ぶのとは次元が違います。 医療の分野ではインフォームドコンセントが重要視されていますが、出産においても同様です。産婦が正しい知識を得て、 自分だけではなく赤ちゃんのことも考えて選ぶ事が必要となります。
 その意味では「母乳で育てるかミルクで育てるか」は選択するような問題ではなく、膨大な エビデンスからも、また人類の歴史からも「母乳で育てる」のが当然なのです。しかしいろいろな事情でその当然のことが出来ない場合もあり、そのときの次善の方法としてミルク(人工 乳)があるのです。ミルクは所詮代替品に過ぎず、完全には母乳の代わりにはなり得ません。
 現在育児でミルクを使用している母親は、母乳育児と人工乳による育児についての正しい知識を知らず(あるいは正しい知識を得る機会がなく)、どちらでも大差ないと思っている人々が大部分です。(この点は残念ながら現時点では多くの医療従事者も同様です。) 正しい知識を知った上で、つまり将来の親子関係や赤ちゃんの健やかな成長のためにはマイナスである事を理解した上で、やむを得ずミルクを選んだという母親は少数だと思います。
 おそらくは、この記事を書かれた記者の方に、その時点では高知母乳の会や母乳育児についての正しい知識が十分ではなかったためだろうと思われます。
 長くなりましたが、以上のことを御理解いただき、
今後も高知母乳の会の活動にご関心をお持ちいただけたら幸いに思います。

     敬具       高知母乳の会会長 福永寿則  




目次
第5回高知母乳の会講演会
感想
感想
行事予定原稿募集など







吉村典子先生

吉村典子先生


熱心に聴いていました!

熱心に聴いていました!





6−1

BACK  NEXT

●HOME●