救急(時間外)のかかり方

 病気に日曜日はなく、いつでも見てほしいと思われる気持ちはとてもわかりますが、小児は随分無駄に救急を受診しています。高知県救急情報センターの96年度集計によると、問い合わせ件数が50.6%が小児科となって います。さらに、小児科を救急受診する子の90%以上が入院を必要としない軽症の病気です。


**救急受診の心構え**

その1:医療のレベルは落ちる。 検査・看護婦などのスタッフが少なくなっています。内科や産科の医師がみる場合もあります。医師の診療方針も“明日の朝までの間に合わせ”です。

その2:料金は高い。 乳幼児医療で自己負担は無料になることもあり、実感がないかもしれませんが、時間外・深夜料金・初診等となり、通常の1.5倍から3倍の料金となっています。

その3:医者は機嫌が悪い。 医者の習性として患者が重症なら熱心に治療し、文句は絶対言いませんが、軽症なのにたたき起こされると腹がたちます。医師は当直の翌日も休みはありません。

その4:往復の交通事故に注意  普段健康な子は、病気で死ぬ確率より事故で死ぬ確率のほうが高いのです。精神的にも子供の病気で興奮しており、運転の注意力も低下しています。お母さんが助手席でだっこしていたらもう最悪です。



**救急受診すべき状態は?**

1.意識がおかしい 激しい嘔吐や、40℃以上の発熱があり、意識がおかしい場合はけいれんや呼吸がとまる前触れだったりすることがあります。

2.けいれんが止まらない 普通のけいれんは5~10分以内におさまります。けいれんがすぐとまっても一晩に2回以上ひきつけるときはすぐ治療をはじめた方がよいでしょう。

3.呼吸が異常に苦しい 喘息発作などがひどくて横になれないとか、食事がとれないような時は朝までがまんしないほうが無難です。

4.血が止まらない けがや鼻血のときはもちろんですが、真っ赤な血そのもののような便のときも急ぎます。


 **以上のような場合は”すぐに病院に行け”と言わなくても行くでしょうし、それに似た症状なら救急受診も止むを得ない事でしょう。が、以下のような例があると”子供がかわいそうだから救急へ行くな”となるのです。**


《してはいけない例1》 「熱が出て昼間に小児科を受診し、薬をもらっているが、夜になっても熱が下がらないので別の病院を救急受診した。」
・・・熱はすぐには下がらない。病気は安静が第一。どうしても熱が気になるなら次の朝早く受診して血液検査をしてもらいます。

《してはいけない例2》 「昨日の夜熱が出たが、今朝は下がっていたので保育所へ行かせた。夜になったらまた熱が出たので救急受診した。」
・・・夜熱が出たら朝熱が下がっていても保育所は休みましょう。保育へ行けるようだったら診察は次の朝まで待ちます。

《してはいけない例3》 「夜熱が出たので診てくれる病院を救急センターで聞いて受診した。薬を3日分もらったが初めての病院で信頼感がなかったので、夜一回しか飲まさなかった。薬の名前は聞いていない。次の日かかりつけの小児科へ行った。」
・・・薬を飲まさないなら救急へ行かない。もらった薬は必ず名前を聞いておくこと。

《してはいけない例4》 「夜中に熱が出たので救急病院に行くと、熱さましの座薬を出してくれて、明日朝小児科に行くように言われた。次の日は自分も眠く子供もよく寝ていたので午後から小児科に行った。」
・・・夜中に救急に行かなかったら次の日の朝に受診が受けれた。夜中にうろうろすると親子共に疲れてしまう。医者も疲れる。