夜尿症(ねしょんべん)

・何歳から治療? 赤ちゃんはおしめをしていますが、2才頃になると、うんこ・おしっこを言い始め、3才頃には昼間のおしめがとれるようになります。早い子は夜のおしめもとれるようになります。小学校に入っても夜尿があれば”夜尿症”として治療の対象になってきます。

・まず検査 夜尿の大部分は“機能的”といわれ、そのうち治ってきますが、膀胱・外陰部の奇形、糖尿病、腎不全など原因になる異常のあることがまれにあります。はっきりとした原因があれば治療も違ってきますので、病院に来たときは血液と尿の検査をします。

・記録が大切 次に夜尿の様子を記録していきますが、これは夜尿が治るまで数年続けます。生まれてずっと毎日夜尿がある、夜寝てすぐに夜尿がある、昼間でももらしている、などは治りにくい夜尿です。1週間に1~2回の夜尿、夏はほとんどないが冬には多くなる、夜明けの夜尿はあと1~2年で治る夜尿です。一旦全くなくなっていたのに、また出てきた夜尿は何かストレスが関係している場合があります。軽ければ記録をしはじめたとたんに夜尿が止まることもあります。

・起こさず!あせらず!怒らない! 治療の原則は<起こさず・あせらず・怒らない>です。夜中に排尿させると、夜おしっこの癖をつけるわけですから、夜尿はかえって固定化され、長引きます。また、夜尿はいつか治ります。あせっても何の得にもなりません。
かえって精神的なストレスが家族みんなにかかったり、当然本人の夜尿は長引きます。また、怒ったりがんばれと励ますのも逆効果 です。夜尿は寝ていて意識のない状態での出来事ですから、がんばれと言われてもがんばりようがありませんし、怒られても反省のしようがありませんよね。朝、布団のおしっこを見てもがっかりしないでください。自分のことで親に悲しまれると、子供はつらくなりますから。

・親がすること 生活では夜、特に寝る前2~3時間は水分や食べ物をとらないようにします。その理由は飲んだ水分が吸収され尿となって出るまでに2~3時間かかるからです。味付けは薄味にします。塩分が多いと、のどが渇き尿量 が増えます。体が冷えると夜尿が増えるので、寝る前にお風呂に入り、ふとんも暖めておきます。おねしょシーツやおむつを使って、おねしょをしてもよい状態にします。
おむつを使っても夜尿には悪くありませんので。

・本人がすること 夜尿は、1.朝までおしっこがもつか、2.おしっこがたまったら目が覚めるか、どちらかになればよいのですから、起きている間に膀胱のトレーニングをします。尿意を感じてもすぐにトイレに行かず、30分がまんします。こうして膀胱の容量 をできるだけ大きくします。それと、便所にいってもおしっこをちょっと出してはグッと止め、ちょっと出してはグッと止め、を毎回繰り返します。
こうして出口の筋肉を強め、自分の意志で出したり止めたりする神経回路を鍛えます。

・薬ですが 薬では夜間尿量を少なくするホルモン剤、睡眠を浅くする薬、膀胱の緊張をゆるめる薬、体質を強くする漢方薬などがありますが、副作用のこともありますので、薬で治すのは小学校高学年以上、膀胱トレーニングをしても夜尿が続く場合にしたほうが良いでしょう。