親と子のかかわり方

 完璧な子育てはできません。親の楽しみや身勝手で、子供にさびしい思いをさせたり、ちょっとした不注意からけがをさせてしまったり、カッとなって叱ったり。それでも子供は健気に親についていきます。今回は親の子供に接する心構えについて述べてみます。

1.まず十分に手をかけて
 子供が生まれたら生活が変わります。他人(=赤ちゃん)の面倒を全面的に見なければならないからです。人間の発育はおとなになり、自立すれば完成と思っていたら大間違いで、その次の段階があります。すなわち他人の世話をする、人を組織する、会社で言えば管理職になるという段階があるのです。子供を育てることで女の人は、この人間の質をひとつ上げるのです。普通 は自然にこのステップを昇っていくのですが、自然に昇れる要件で大切なのは母乳哺育です。母乳を飲ますということは栄養や免疫の関係だけではありません。母と子が四六時中いっしょに居て、女性は母になっていくのです。母と子は母乳を飲むという肉体接触を通 して関係が深くなるのです。十分に母乳を飲まし、手をかけてやるために、仕事を持っている方も1年間は休みましょう。

2.声をかける
 2~3才になるとおしゃべりができるようになり、自我もでてきます。母の翼から離れて自分が興味を持つものに近づきますが、すぐにお母さんの所に戻ってきます。自分ができることはできるだけ自分でさせますが、声をよくかけてあげましょう。夜寝る前は絵本を読んであげましょう。“こうしよう、ああしよう、それはだめ、これを見て”など、この時期の子供はしゃべりっぱなしです。子供が寝ている時だけ静かですね。

3.眼をかける
 子供の行動範囲が広がり、友達同士でも遊べるようになります。時々親の方をみますが、もどってはこなくなります。親も子供を追いかける時代から、じっと座って眼で子供を追っていればいい時代になってきます。親子関係が良いと、子供も“見よってよ!”とうるさいくらいよく言います。

4.気にかける
 中学・高校になると全くしゃべらない子になったりします。話しかけても生返事しかせず、目をあわすこともほとんどなくなります。親が知らない友達もできます。こうなると今までの子やらいの結果 がでてきていると思ってください。いまさら子供にごちょごちょ言っても遅いのです。黙ってじっと見ていましょう。子供はもう親の手をはなれているのですから。後は子供のことを気にかけているだけしかできませんし、それでかまいません。そして子供のほうから話しかけてきたり、援助を求めてきた時は誠実に対応してあげてください。 いつまで“ああしろ、こうしろ”と言うことはもちろんのこと、何を考えているのか?何をしているのか?”という目でみられることさえこの時期はいらだつのです。あなたの子です。今までの子やらいに自信を持っていきましょう。
でも、もし子供が悪さをしたりで注意したかったら・・・。子供はあなたの鏡です。まず自分の生活態度を変えましょう。たとえば、親がたばこを吸っていると子供も吸うようになるのですから。

 この1~4は何を考える時も同じです。たとえば自転車に乗るのを教える時、最初は倒れないように持ってやったり一緒に走ったりします。ちょっと乗れるようになると”右へ曲がれ、ふらふらしないで、ブレーキをかけろ、あぶない”などと声をかけます。もう少し上手になると見ているだけでよくなり、最後には自転車で一人で遊びにでかけ、交通 事故の心配をするようになります。このように子供の能力に応じてこの1~4のどの応対をしたらよいのか判断しましょう。自分でできるのにいつまでもしてやったり、干渉しすぎたり、逆に子供がさびしくて自分に目を向けて欲しがっているのにほったらかしにしてしまったりなどをできるだけなくしたいものです。