託児所症候群 とは?

  今まで自宅保育をしていた子が、保育園や託児所に行き始めると病気を次々ともらってきます。特に0才からの託児所は子供にとっては“命がけ”になっています。これを託児所症候群と名付けてみました。

症状は?

1.よく熱を出す 熱がひいても十分体力が回復する暇がない為、次の病気を跳ね返すことができず、又すぐ熱を出してしまいます。

2.ゼーゼーと咳をする  小さな子ほど“体はひとつ”です。のどの熱が気管支へいき、さらに先の細気管支炎を引き起こします。0才から託児所に行くと、この細気管支炎になり、入院することもあります。

3.中耳炎を繰り返す のどの奥と耳は耳管でつながっています。のどの炎症が耳にきて、中耳炎をおこします。中耳炎も軽ければ自然になおりますが、繰り返すと滲出性中耳炎になります。これも大半は自然治癒しますが、なかに鼓膜の動きが悪くなり難聴をこたすことがあります。

4.鼻汁が出る 鼻が出るのはアレルギー性鼻炎か副鼻腔炎(ちくのう)です。託児所症候群でおこすのは副鼻腔炎です。ほとんどは自然になおるので、小児科医は、鼻汁だけで生活に支障がないなら気にしなくてもよいと言います。

他の因子

 普通の子が“かぜをひきやすい”原因は3つあります。託児所・人工ミルク・タバコです。母乳には免疫を上げる作用があり、人工ミルクより少ない量 で同程度の栄養があります。

 タバコは毒ガスと思って下さい。吸う本人にとっても良い事はありませんが、まわりにとっても良い事はひとつもありません。


治療

1.原因の除去 1才まではできるだけ仕事を休んで、母乳で育てましょう。働く時はおばあちゃんか子守さんに預けましょう。人工ミルクを足し始めても母乳は極力やめないで下さい。お母さんのタバコは絶対に禁止。お父さんももちろん禁煙。少なくとも家の中では吸わないようにしましょう。

2.安静  できるだけ託児所を休ませます。特に熱が出た後は、少なくとも丸一日、熱が出ないのを確かめてから託児所に行きましょう。しんどそうな息(咳)をしているときは、早めに治療を受けて下さい。

3.予防注射  1才までに“三種混合”、1才を過ぎたら“麻疹(はしか)”の予防接種を受けておきます。余裕があれば3才を過ぎたら、“おたふくかぜ”の予防接種を受けるのもよいでしょう。

4.薬  身体全体の免疫を上げてかぜを予防する為に漢方薬・柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)を朝・夕に服用します。小さい子の場合は、中耳炎の時も全身の抵抗力を上げないと、耳鼻科で耳だけをみていても、なかなかなおりません。耳鼻科で鼓膜切開を繰り返し、強力な抗生剤を次々と変えながらのんでいる(のまされている)子がいますが、気の毒に思っています。早く来て漢方薬を併用したら、かぜをひきにくくなり、中耳炎もなおっていきます。

 西洋薬は病気になった時には使いますが、予防の効果はありません。抗生剤は細菌には必要ですが、ウイルスには効きません。むしろ抗生剤をむやみに飲んでいると、抗生剤が効かない細菌が増殖して困ることがあります。