クリニックだより NO.55



赤ちゃんを母乳で育てているとお母さんや家族の生活にいろいろと変化がみられます。
どんな変化があるのかまとめてみます。




1. 夫婦仲が良くなる
 母乳はお父さんが育児を手伝ったほうがよく出ることがわかっています。健診や予防接種にお父さんも付いてくる方には母乳育児の方が多いようです。母乳を飲ましている妻の姿を見て、お父さんも子供を育てることに価値を見出すのではないでしょうか。

2. 清貧の生活ができるようになる
 母乳で育てるとお金がかかりません。出かける時の荷物も少なくてすみますので、赤ちゃんを連れて遊びに出かけることが増えます。友達が増え、育児用品や赤ちゃんのリサイクル服も回ってきます。スーパーの安売りにも行けます。出る金が少なくても生活レベルを落とさず、楽しい生活ができます。

3. お母さんの食生活が良くなる
 母乳にはお母さんの食べたものが少し影響します。"自分の食生活が母乳に関係する"と分かったら、合成保存料や着色剤はなるべく取りたくありません。できれば、いわゆる有機農法で育った野菜を食べたいと思うようになります。もちろん朝食もきちんと食べ、インスタント食品はなるべく使いません。だんだん、和食がお母さん自身の身体に合っているのが分かってきます。

4. タバコをやめられる・やめさす
 女の人が禁煙する動機の一番は"妊娠"です。母乳で育てていると禁煙を続けられます。自分がタバコを吸わないと、タバコを吸っている人をやめさせたくなります。自分の為だけでなく赤ちゃんの為に、夫にも禁煙をすすめるようになります。禁煙できなくても子供といる時だけでもタバコを吸わないようにしてもらいます。

5. 環境問題がわかるようになる
 自分が健康でないと母乳で育てることはできません。自分が健康でいる為には、原子力発電よりは太陽光発電がいいとか、ダイオキシンを出さない為にはゴミをリサイクルしなければいけないとか、地球温暖化を少しでも遅らせる生活をとか、皆の生活環境について考えざるをえなくなります。




1.子供が太り過ぎる
 現代の、栄養状態が良く健康な女性は母乳を出そうとすればいくらでも出ます。当院では母乳を出す指導をしていますが、出過ぎて乳腺炎を起こすお母さんが多くみられます。また、お母さんにだっこされて母乳を飲むのは赤ちゃんにとって非常に気持ちの良いことです。が、それしか楽しみがないといくらでも飲んで太ります。赤ちゃんに母乳を飲むより楽しいことをしてあげて下さい。そうすればむやみに太ることは予防できます。

2.運動発達が遅れる
 母乳を飲ますと、手がかからず、子供もニコニコして、よく寝ます。その為寝さしたままが多くなり、運動不足になることがあります。これを予防する為、当院では生まれてすぐから、起きている時に腹ばいにすることをお勧めしています。よく運動をさせ、寝返り・ハイハイをすることで、赤ちゃんの知能は獲得されるのです。

3.すぐに次の子を産みたくなる
 母乳で育てるとお金もかからず、お母さんの育児不安が少なく、"楽しい育児"ができる為、出産後早くから"次の子"を欲しくなるお母さんが多いようです。母乳で育てていると普通は約1年間排卵・生理が来ません。が、生殖能力は個人差が強いので、母乳でも避妊はして下さい。次の子は2~3年の間をあけて出産した方がお母さんの肉体疲労の回復にもいいようです。

4.夫の立場が弱くなる
 母乳育児は母と子のつながりが強く、家庭が母と子中心で動くようになります。家庭内では、子供がいない時は夫・男が強いようですが、子供が一人生まれると女の人は"弱い女"から"強い母"になってきます。子供が二人・三人と増えてくると家庭での実権は完全に母親になっていきます。子供が女三人だと家庭でのお父さんの居場所さえなくなってきます。そうならない為に、お父さんは育児をして、子供と一緒に遊んで、子供に勉強を教えて、子供を味方にする努力を怠らないようにしておきましょう。

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