クリニックだより・NO.59 2004.3.12



鼻汁(はなじる)は正常でも少し出ています。鼻の働きは、吸い込む空気が肺に入る時に、ゴミを鼻の粘膜に吸着させて取り除き、空気の湿度と温度を上げることです。鼻汁はこれを助けるのです。鼻のよくある病気で説明しましょう。
 
1.上気道炎(かぜ)
 鼻から細菌やウイルスが入ってきて鼻の粘膜が炎症をおこし、それに反応して鼻の粘膜が鼻汁を出します。この時の鼻汁はさらっとした、いわゆる水鼻です。これに刺激されてクシャミが出てきたりします。

2.副鼻腔炎(蓄膿)
 鼻の奥、両側、額に副鼻腔という骨に囲まれた空洞があります。鼻の粘膜の炎症がこの副鼻腔に波及していくと副鼻腔炎になります。鼻汁は粘っこくなって、いわゆる青鼻・黄鼻と呼ばれるものになります。

3.アレルギー性鼻炎(鼻炎)
 吸い込んだ空気に花粉があって鼻汁が出るのは"花粉症"と言いますが、タバコ・化学物質・ほこりなどでも起こりますし、ラーメンやうどんを食べても鼻汁が出ます。冷たい空気を吸っただけでも出ることがあります。これらは鼻の粘膜に対する刺激への反応ですが、過剰に反応する、生活に不都合なほど強く反応する時には治療が必要になります。

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鼻詰まり(鼻閉)の状態には2通りあります。
1.ねばい鼻汁(青鼻・黄鼻)によるもの
 鼻汁が鼻の奥からノドまでたまり、空気の通り道がふさがれた状態です。鼻をかむことができる子でも、鼻汁がねばい為、鼻をかんで出すことが難しくなります。鼻をかめない子は鼻を吸ってやると出口だけでもましになります。当院では吸引器で鼻の奥からノドの上部まで鼻汁を吸います。ビックリするほど鼻汁が吸えることもよくあります。
2.鼻の粘膜がはれる
 アレルギー性鼻炎での鼻詰まりはこれです。ですからアレルギー性鼻炎では吸引をしてもさらっとした鼻汁しか引けず、鼻詰まりは改善されません。点鼻薬や飲み薬が必要になります。

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治療は熱があったり、夜寝れないなど生活に支障がある時に必要になりますが、特に子供の場合など元気で走り回っていて生活に支障がなければ無理に治療することもありません。ただし、鼻・喉・耳は奥でつながっていますので、炎症が耳に波及すると中耳炎となります。
A.鼻を温めて蒸気を吸う
 お風呂に長く入ったりもぐったりして蒸気を吸って鼻をかむ、熱いおしぼりを鼻にあてる、コップに熱いお茶かお湯を入れて湯気を鼻から吸う、などをします。熱い蒸気を出す機械も売り出されています。当院にありますので、自分でコントロールができる子はしてみましょう。
B.鼻根部を押す
 鼻詰まりのツボが鼻の付け根にあります。眼の間の少し下の骨の部分を、指ではさんで強く押さえつけて下さい。数回すると少し鼻が通ってきます。
C.漢方薬
 小青竜湯と麻黄附子細辛湯が代表的なものです。体力があり胃腸の丈夫な方は小青竜湯、体力が弱く胃腸も弱いなら麻黄附子細辛湯、という使い分けをします。いずれも錠剤・カプセルがあり飲みやすくなっています。
D.西洋薬
 坑アレルギー剤は花粉症など、アレルギーが原因と思われるものに使います。点鼻薬がアレルギー性鼻炎にはいいようです。カゼの鼻汁にはペリアクチンやムコダインといった薬が使われますが、"効く!!"という感触はあまりありません。


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