NO.６５　２００５．０３．３０ ２０１０．０４．１5 更新

予防接種には法律で決まっていて無料で受けることができるものと、任意・有料で受けることができるものとがあります。これらを受ける、医学的に一番良い順番・考え方などについて説明してみましょう。

三種混合（DPT）（ジブテリア、破傷風、百日咳）　　　二種混合（DT）（ジフテリア、破傷風）

百日咳は日本では年間数千人がかかっています。１才以下で百日咳になると苦しくなります。破傷風は病気になってしまったら治療法はありません。予防接種が一番です。予防接種を生まれて最初に、生後３ヶ月になったらすぐに受けて欲しいと思います。最初に１ヶ月毎に３回しますが、きちんとできていれば２回でもかまいません。２回したら１年後にもう１回します。ｌ効果は２０年でなくなりますので、４回目（追加）を７歳（７歳半まで無料）でしたら免疫が長くもちます。小学校６年で２種混合として追加します。

ＢＣＧ

ＢＣＧは０才児の重症の結核（結核性髄膜炎・栗粒結核）をある程度予防しますが、結核全般を予防することはできません。最近はこの０才の重症結核の発生は年に０人です。法律では生後５ヶ月までにすることになっていますので、BCGをしたい方は三種混合を２回すまして、１週間以上あけて５ヶ月までにします。 ＢＣＧをしなかったら、結核が疑われたとき、ツベルクリン反応で判定がしやすいという利得があります。 以上の理由から先進国ではBCGはしていません。

ポリオ

この接種は口から飲まします。一回で抗体はできますが、乳児はよく下痢をするので念のため２回になっています。 　かつて肢体不自由児の多くがこの病気でしたが、予防接種で劇的に減少し、今、日本にこの病気はなくなりました。世界にもほとんどなく、後数年でＷＨＯから”ポリオ絶滅”が宣言されようとしています。副作用はほとんどないので絶滅宣言が出されるまでは受けましょう。

麻疹（はしか）

接種の後、熱を出す副反応が一番多い予防接種です。しかし麻疹は今でも半数近くは点滴や入院が必要ですし、死ぬこともまれにあるので、小児科医が一番してほしい予防接種です。「１才になったらすぐに予防接種をしましょう！」とキャンペーンを続けた結果、麻疹の発生数は年に数万人からかなり減少しましたが、世界からみると、日本はまだまだ麻疹が多い国です。

風疹

予防接種によって、最近の発生数は少なくなりました。子供がかかっても軽症ですが、大人がかかると入院することもあります。妊娠初期に風疹になると胎児に影響するので、予防接種の一番の意義はこれを防ぐ為です。予防接種の効果は１０年しかもたないので、同じく長くもたない麻疹と一緒に予防接種を２回することが検討されています。

日本脳炎

子供でこれにかかるのは年に１人いるかいないかですし、人から人にうつることもありません。予防接種の重大な副作用もまれに出ており、予防接種の利益が大きいとは言えません。夏は帽子をかぶる、過労を防ぐなどをして体力をつけます。心配なら予防接種をしますが、日本脳炎の発生は７～８月のみで、予防接種の効果も５年しかもたないので、するなら５～６月にしましょう。

おたふくかぜ（ムンプス）

おたふくかぜは、髄膜炎・急性膵炎・睾丸炎・難聴など合併症が多く、特に難聴は回復しません。２～３才過ぎて、麻疹や風疹の予防接種もすんだら、受けておいた方がいいでしょう。だたし、予防接種の効果は少し低く、約０．０５％に副作用の危険性もありますが、日本以外の世界中の国はこの予防接種を２回しています。。

水疱瘡（みずぼうそう）

みずぼうそうには重大な合併症がほとんどありません。ですから予防接種は重大な病気をしていて、抵抗力が低下している子、水ぼうそうになったら死ぬ目に遭う子に使います。予防接種の効果が少し悪く、料金も高いので普通の子には必要ないでしょう。 大人になってからかかるとかなりしんどいので、大きくなってもかからなければ予防接種をしましょう。有効率は６０％と言われています。

Ｂ型肝炎

家族にＨＢ抗原＋（プラス）の者がいたら必ずしましょう。又、血液に触る仕事（検査技師、看護師、理・美容師など）をする者はこの予防接種をしておきます。 これも世界では普通にしています。

インフルエンザ

かつてこの予防接種をしてきましたが、１９９４年から中止になりました。最近また任意でされていますが、毎年予防接種をしていてもかかる方はかかりますので、効果はほとんどないと考えています。流行状況も予防接種率に無関係です。６５才以上の方、風邪を引いても死ぬ目にあう病気を持っている方はしてみてもよいでしょう。

ヒブワクチン

細菌性髄膜炎の原因の半分を占めるインフルエンザ菌b型に対する予防接種です。これも世界のほとんどの国は実施しています。 お金は要りますが、三種混合と一緒にしたほうが良い予防接種です。

　　　　　　

＊田村こどもクリニック＊
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