改訂 2016.12
 
湿疹と思ったら
最近『アトピー性皮膚炎』という言葉が流行しています。
湿疹を見たらアトピーで、アトピーだったら食物制限が必要という間違ったパターンがいつの間にか定着してきています。合成保存料、着色料など、
人の体に不要なものは、それがアレルギーの原因でなくても食べないほうがよいのですが、卵・牛乳・大豆などは子供の成育に必要な食物です。
これらの 人間にとって必要な食物を制限する時には、
その食物が悪いという、よほどの根拠がある時だけにします。実際、湿疹の原因で多いのは、
(1)肌の汚れや汗、(2)肌に触っているもの、(3)体質もあるということです。
そして、体質の中の一部、何年も続くかゆい湿疹がアトピー性皮膚炎です。
汗と汚れが大敵。
湿疹の治療はまず石けんで洗うことです。
ビニールタオルを使用したり、ごしごし強くこすったりしてはいけませんが、汚れは必ず除かなければいけません。
赤ちゃんの顔には脂漏性湿疹という湿疹がよくできますが、これも石けんで洗うだけで大部分は良くなります。
汗に関しては寝ている時と風呂上りに注意してください。 赤ちゃんは寒さに弱いのですが、暑さにも弱いのです。
つまり適応できる温度の幅が狭いのです。 乳児健診では、冬でも「あせも」を作っている赤ちゃんがいます。
風呂上がりは少しさましてから服を着せてください。
合成洗剤をやめること。 湿疹の中で、
触るものが原因でおこる湿疹を接触性皮膚炎と言います。家族の方がアトピー性皮膚炎と
思っている湿疹にこの接触性皮膚炎が多いのです。
肌に触るものは何でも湿疹の原因になりますが、一番多いのは、合成洗剤です。
河川の汚れや上下水道の処理でも合成洗剤は困った存在ですが 、肌にも悪いのです。
厚生省から、家庭用品でどの制度 湿疹をおこすかを調べた結果が発表されていますが、毎年 群を抜いて多いのは合成洗剤で、
おむつかぶれの何倍にもなっています。
服を洗う洗剤は、必ず成分表示を見て、洗濯用石けんと書いてあるものだけを使ってください。
柔軟仕上げ剤、漂白剤(塩素系)も使わないことです。どうしても黄ばみをとりたい時は、酸素系の漂白剤にしてください。
スキンケアが大切。
石けんで洗うとか、汗をかかさないとか、肌に悪いものに触らないといった肌の手入れのことをスキンケアと言いますが、
をきちんとすることで、これをしっかりやるだけで 湿疹の半分以上は治ります。 また、『アトピー性皮膚炎』があればなおの事
これらのスキンケアをしっかり実行してください。
汚れた湿疹をそのままにしたり、 肌を痛めつけながら軟膏をぬっても治りません。
軟膏をぬるにしても食事制限をするにしても、このスキンケアができていることを前提に治療は行われるのですから。
ひどい湿疹は消毒を。
湿疹を掻いて、血や”きしる”が出るときは細菌がついていますので、消毒してから軟膏をぬります。
ひどい湿疹が全身にある時は、消毒液を風呂に入れ、全身を消毒します。この方法は、かゆみも少なくなり、
普段程度の湿疹なら一週間で良くなります。
肌と肌が接しているところ、例えば肘の内側、膝の裏、首、耳たぶの下(耳切れ)などにできた湿疹で、
かゆくて繰り返しできるものは、アトピー性皮膚炎の可能性があります。治療はまず、スキンケアです。
『肌に良いのは水と空気』
を標語に、自分のお化粧の肌の手入れを参考に、ていねいに肌のお手入れを大事にしてやってください。
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