![]() |
NO.73 2006・07.22 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
母乳量を増やす3つの方法 |
1.1日10回以上母乳を飲ませる 母乳は出るから飲ませるのではありません。吸わせるから乳腺・乳頭が発達して母乳が出るのです。母乳のみの人が1日8~10回が飲ませるのだから、母乳の分泌が少なければそれ以上の回数を吸わさなければなりません。 |
2.水分をよく摂る 月齢にもよりますが、母乳が1日600~800ccは出ます。栄養は皮下脂肪などとして母親に蓄えられており、ほぼ一定の成分で母乳は作られますが、水分だけは日々補給しないと母乳量は確保できません。出産後は育児のため、母親自体の運動量も増えるので、普段の水分摂取量プラス1,000ccを目安に水分を摂って下さい。 |
3.母親が昼寝をする 睡眠が不足したり過労になると母乳は出ません。特に生後1~2ヶ月の間は子どもの睡眠サイクルに母親も合わせることが必要です。育児疲れの精神的なストレスも、十分な睡眠をとって身体を休ませることで解消されていきます。 |
母乳分泌を増やす人工ミルクの足し方 |
人工ミルクの1日最低必要量を設定します。これを赤ちゃんの月齢に応じて、1回量は最大に1日回数は最小にします。例えば、1ヶ月で1日300ccの人工ミルクを足す場合は、100cc/回×3回/日にします。決して60cc/回×5回/日にはしません。人工ミルク自体が悪いのではなく、人工乳首を口に入れることが悪いので、人工乳首の回数を極力少なくして、その何倍もの回数、本物の乳首を吸わすことが必要です。毎回、母乳の後に人工ミルクを足すという方法は母乳を止める方法です。このやり方では、普通の分泌量の母乳は1~2ヶ月で止まることが多いのです。 |
赤ちゃんの体重は? |
標準体重と比較するとき、月齢標準体重ではなく、赤ちゃんの身長相当の標準体重と比較することが必要です。月齢にもよりますが、この身長相当標準体重より1,000g以上軽くならないほうが安全です。また、標準体重は平均体重であって、理想体重ではありません。 |
当院の結果 |
2000年から2002年に出産して、当院での母乳教室に参加した母親のその後の結果をまとめました。対象は母乳のみでずっと育てた母親を除いた153人です。 |
1.母乳のみから混合になった3人 母乳のみでは足らず、人工ミルクを足すよう指示したのは3人のみです。3年間で3人ですから、いかに少ないかがわかっていただけると思います。 |
2.人工ミルクのみの母親8人の結果(省略) 人工ミルクのみの場合、今回はあきらめて、「次の子から母乳にしましょう」とすることがほとんどですが、母乳の希望が強かったり、母乳をやめて間がなかったりするときに母乳指導を行うこともあります。 |
3.混合の母親142人の結果 この母親をいかに母乳のみにするかが母乳指導の腕の見せどころです。不明の3人を除いて139人中、母乳のみになったのは117人・84.2%、人工ミルクを中止できなかった(=混合のまま)のは15人・10.8%、人工ミルクのみのみになったのは7人・5.0%でした。人工ミルクのみになった7人はそれぞれ、託児所に行く、母親がうつ病で入院、などの事情がありました。 |
4.母乳のみになる期間は? では、混合から母乳のみになった117人は当院受診後どうのくらいで母乳のみになったのでしょうか? 受診後7日以内が36人・30.8%、 8~29日が41人・35.0%、 1~2ヶ月が30人・25.6%、 3ヶ月以上かかったのは10人・8.5%でした。 7日以内というのは「人工ミルクは必要ないのでやめましょう」と言ってすぐやめて大丈夫だった母親で、人工ミルクはまったく不必要だったはずです。 この質問の結論は「きちんとした母乳指導を受けることができれば、人工ミルクを足してくる方は80%以上の確率で母乳のみになります」ということです。 |