クリニックだよりNo.11より
子供が生まれて数ヶ月すると市町村から予防接種の紙がドンッと送られてきます。説明書を見るとどの病気も"怖い病気だから・予防接種を受けましょう・副作用はまずありません"程度しか書かれていません。年に何人がこの病気になり、入院が必要な子は何%で、予防接種の副作用は年に何人・どの程度か?等がないと判断はできないのですが・・・。 今回は受ける順にごく簡単に説明していますが、最終的には保護者の病気と副作用に対する価値判断になります。 |
☆ 三種混合(ジフテリア・破傷風・百日咳) 二種混合(ジフテリア・破傷風) |
最初1ヶ月毎に3回しますが、きちんとできていれば2回でかまいません。副作用が一番あるのは百日咳ですので、2~3才以後で副作用が非常に気になるなら2種混合にします。1才以下で百日咳になるとかなり苦しくなります。破傷風は病気になってしまったら治療法はありません。予防注射が一番です。 |
☆ BCG・(ツ反) |
BCGは0才児の重症の結核(結核性髄膜炎・粟粒結核)を予防しますから、するのだったら早くした方が良いでしょう。副作用はまずありません。ただし大人になってからの結核はBCGでは予防できません。 |
☆ ポリオ |
接種は最も安全です。1回で抗体はできますが、乳児はよく下痢をするので念の為2回になっています。かつて肢体不自由児の多くがこの病気からでしたが、予防接種で劇的に減少し、今日本にはなくなりました。しかし世界にはまだあるため、予防接種を3回したらという意見もあります。 |
☆ 麻疹(はしか) |
予防接種の後、熱を出す確率が一番高い接種です。しかし麻疹は一年間に数万人がかかり、入院することもあります。死亡することもまれですがあります。その為全国の小児科医が一番必要と感じている予防接種です。1才になったらすぐに予防接種をしておきましょう。御両親も麻疹の予防接種をしていない、かかったことがない方はできるだけ早く予防接種をしておきましょう。 |
☆ 日本脳炎 |
子供でこれにかかるのは年に老人が数人で、予防接種の重大な副作用も年に数人出ており、予防接種の利益が大きいとは言えません。夏は帽子を被る、過労を防ぐなどで体力をつけていれば予防接種を無理にする必要はありません。蚊にさされても心配なら注射をしましょうか。 |
☆ 風疹 |
できればかかった方がよい病気です。妊娠初期に風疹になると胎児に影響するのでこれを防ぐ為に予防接種をします。あまり早く注射をすると20年~30年後の妊娠まで抗体が持続できないかもしれないので、できるだけ遅く注射をして下さい。7才6ヶ月までは公費でできます。男子は流行を防ぐ為の"ついで"です。 |
☆ おたふくかぜ(ムンプス) |
風疹をするぐらいならこれをした方がいいでしょう。髄膜炎を合併することがあるし、まれには難聴もおこります。ただし注射の副作用の危険性もなくはありません。 |
☆ 水ぼうそう |
これは重大な病気をしていて、抵抗力がはっきり低下している子、水ぼうそうになったら死ぬ目にあう子に使います。普通の子には必要ありません。 |
☆ B型肝炎 |
家族にHBe抗原+(プラス)の者が居たら、した方がよいでしょう。また、血液に触る仕事(検査技師・看護師など)をする者はこの予防注射をしておきます。 |
☆ インフルエンザ |
かつてこの予防注射を毎年してきましたが、94年から中止になりました。厚生省は中止の理由を言いませんが、予防注射の効果がほとんどない為と考えています。風邪をひいても死ぬ目にあう病気を持っている方はしてみてもよいでしょう。 |