改訂 2021.9


 息がしんどくて、呼吸の音がヒュウヒュウ、ゼーゼー、いっておれば“喘息かな?”と言うことになります。“かな?”というのは、気管支炎や気管支内異物など他の病気もあるからです。肺のレントゲン写真や血液検査をし、くりかえしておこすか経過をみて、喘息かどうか決めていきます。

 嘆息発作は気管支が収縮し、気管支粘膜がはれて(=炎症)、さらにその表面に痰がつく為に、空気の通る部分が狭くなった状態です。ですから嘆息発作の治療は気管支を広げ、炎症をとり、痰を出す、ということになります。

 そして嘆息の治療はこういった発作の治療と、発作をおこしてない時の予防の治療の両方が必要になります。

 喘息の発作は軽いものから重症のものまで、その程度はいろいろです。軽い発作は息を力いっぱい吐けば少しゼーという程度で、本人は元気で普通の生活ができます。この程度なら薬を飲まず、放っておいてなおることもあります。しかしたびたび発作をおこす子は、この時期にすぐ治療を始めないと急速に悪化することがあります。発作がひどくなると寝ておれず、座ったほうがまだ楽になるようになります。食事が出来ず、食べたものを吐き、睡眠不足と脱水状態になります。こうなると輸液(点滴)や入院が必要です。もっとひどくなると呼吸の音がほとんど聞こえなくなり、非常にまれですが窒息状態で死亡することもあります。

 最近では効果的な飲み薬や吸入薬がありますので、発作の初期にきちんとした治療をすれば大事にいたることはまずありません。そのうち治るだろうとたかをくっていたり、あまりがまんしていると、重症な発作になっていくことがあるのです。

 喘息の治療でもうひとつ大切なのは発作を予防するということです。嘆息発作が起きやすいということは、気管支がいろいろな刺激に対して過敏であるということですから、発作の予防は1.いろいろな刺激を避けることと、2.気管支の過敏な状態を緩和させることが必要になります。

 気管支を収縮させる刺激には実にたくさんのものがあります。家のほこりやダニ、犬・猫・小鳥などのペット、杉などの花粉、タバコの煙、車の排気ガス、冷たい空気など吸い込むものが多いですが、不安・緊張・イライラなどの精神的ストレス、過労・かぜ・妊娠・育児などの肉体的ストレス、さらに食物や薬剤のアレルギー、運動刺激などがあり、季節や天気にも影響されます。例えば、冬のマラソンで走り始めると発作を起こす、ふとんの上でほたえたらゼーゼーいう、かぜをひくと嘆息発作になる、秋風が吹き始めると嘆息患者が増える、などです。これらの刺激のうち避けることができるものからは逃げますが、季節やストレスのように逃げられないものがあります。刺激に強くなる為にはまず肌をきたえます。入浴時に水をかぶったり、薄着にしたり、乾布摩擦をします。腹筋をきたえ、腹式呼吸で息を全部吐く練習をして、わざと咳をして痰をだします。薬では漢方薬を長期に服用したり、抗アレルギー剤を使います。発作予防の吸入を1日2~3回、これも長く続けます。

 喘息持ちの子供への接し方は【発作のある時は過保護に、ないときはきたえる】事を原則として下さい。

 喘息は大人でもおこりますが、内科と小児科では治療に基本的な考え方の違いがあります。内科では喘息体質は変わらないことを前提に、発作をおさえ喘息とうまく付き合うようにします。小児科では体質はまだ変わることを期待し、小児科までで喘息をなおし、大人まで持ち越さない努力をします。その為には自分の喘息の様子を知り、発作の程度や服用している薬を記録し、発作を起こさないように環境を整え、起きても自分ですぐ治せるようにトレーニングをしていくことが大切になります。

喘息教室のお知らせ

 喘息は慢性の病気で、治療には本人と家族の方の協力が必要です。数分間の診察だけでは十分な理解ができないと思いますので、喘息教室を以下の予定で行いたいとおもいます。喘息手帳をもらった方や、喘息について聞きたい方はご参加下さい。

・日時:必ず予約してください

ひとまず中止。来年春・夏に考えます。

・持参するもの
  1.診察券、保険証 (診察をしますので必要です)
 

 2.家でしている呼吸器、ピークフローメーター(している人だけ)
   (家で吸入がきちんとできているか、当日ここで吸入をします。
   吸入器のチェックも年1回必要です。)
  3.喘息手帳 (記入の仕方をもう一度チェックしましょう。)
  4.喘息の薬 (テオドール、漢方薬などを確認します。) 

・当日行うこと
  1.喘息の説明
  2.診察
  3.吸入などのビデオ閲覧
  4.実際に自分で吸入(発作のある子)、吸入器のチェック(持参した方)
  5.肺機能検査、ピークフローメーター(できる子だけ)

・費用
  普段の診察と同じです。(診察料・検査代・薬代など)

*田村こどもクリニック*
http://www.tamkocli.or.jp

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