NO.100-101
 2010・02・01
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田村院長の大切な話  
新しい予防接種
 今年1月から3つの予防接種が無料で受けられるようになりました。効果のないBCGやインフルエンザ(ウイルス)の予防接種よりはるかに有用な予防接種ですので、受けるようにしましょう。
A...ヒブワクチン(インフルエンザ菌b型・商品名アクトヒブ)
 インフルエンザ菌b型は、主に0~1才の髄膜炎を起こす細菌で、細菌性髄膜炎の原因の約半分を占めています。この細菌による髄膜炎は年間数百人と推測されています。細菌性髄膜炎は発見・治療が早ければ3週間から1ヶ月の入院で治りますが、運動麻痺や知能障害の後遺症を残す場合も多く、最悪なら死亡もあり得る重症の感染症です。ヒブワクチンの実施している国では子供の髄膜炎の発症がかなり減ってきています。(インフルエンザウイルスとは全く別物ですので、間違わないように”ヒブ”と呼んでいます)

B...肺炎球菌ワクチン(小児用・7価・商品名プレベナー)
 肺炎球菌も髄膜炎の原因菌のひとつですので、このワクチンはヒブワクチンとセットで細菌性髄膜炎の予防になります。さらに肺炎球菌は髄膜炎以外の重症の感染症も起こしますので、これらの予防にもなります。肺炎球菌のタイプはいくつもあり、小児用は主として子供にかかりやすいいタイプのうち7つのタイプを対象としたワクチンです。(老人用の肺炎球菌ワクチンは23価です)

C...子宮頸癌ワクチン(ヒトパピローマウイスル HPV ワクチン・商品名サーバリックス)
 女性の子宮入口に発生する癌の原因の多くがヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因になっています。HPVは性行為によって感染しますので、予防接種をして、感染してもすぐにHPVを追い出すように免疫を付けます。20~30才代までの女性なら接種する意義がありますが、公費の補助は中・高生女児です。ただし、このHPVにもタイプがあり、このワクチンはその中の16・18型に対するものです。その他の型からの子宮頸癌をなくすことはできません。子宮頸癌は子供を産む20才代から30才代に多いので、妊娠したら産科の先生は必ずチェックしますが、20才代以上になったら産婦人科で子宮頸癌の検診も必ず受けましょう。

予防接種のスケジュール・受け方
  A・Bは生後3ヶ月になったら三種混合(DPT)と一緒(同日)に受けます。ひとつずつなら1週間毎にしますが、小児科に再々来ると待っている間に他の病気をもらう確率も上がりますので、2種・3種の同時接種が一般的になりました。日本以外のほとんどの国では5~7種のワクチンが1本になっていますので1回針を刺すだけですむのですが、日本は許可されていませんので一本一本刺される子供は大変です。接種間隔はDPTと同じく、原則”1ヵ月毎に3回・1年後に1回”ですが、接種時期などによって細かな違いがありますので、はっきりしない時には母子手帳を持参して職員にお聞き下さい。
  Cは、1ヶ月毎に2回して6ヶ月後にもう1回です。補助(=無料)の対象は全国的には中学1年生から高校1年生までですが、高知県は高校3年生までできます。さらに高校を卒業して高知県を出ても、帰って来た時に高知県内の病院で受けることができるようにしてくれていますので忘れずに受けましょう。

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*田村こどもクリニック*
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