NO.119 ~2014・08・04~ 前のページ   次のページ  index  top
当院ではお母さんの母乳育児支援をしています。今年8月2日、 熊本市で行われた第23回母乳育児シンポジウム(日本母乳の会主催)に、10年間の成果をまとめて発表しました。
演題名: 当院(小児科診療所)での
母乳増量方法と結果


産科退院時の母乳率は一般的には50~60%です。
当院初診の0歳児の母乳率も、 以前は40%台でしたが徐々に上昇してきて、最近は60%になってきています。
人工ミルクだけの方も10%以下になってきました。 混合栄養はずっと30%ぐらいです。(図1・図2)
お母さんは母乳栄養を希望しているので、産科退院後小児科外来でも母乳育児支援によって その希望=主訴を叶える責務があります。


図1     図2




図3
今回当院でまとめたのは、
2003年~2012年生まれの、初診時0歳の児で、
母親が母乳栄養を希望している
混合栄養児のなかで、
当院母乳教室の参加者です。(図3)





図4

必要な人工ミルクの足し方は、1回量は児が飲める最大量、
1日哺乳回数は最少回数にします。 母乳増量の方法は
1、1日10回以上の直接哺乳。
2、母親が水分を十分にとる。
3、母親が昼寝をする。の3点です。(図4)
母乳分泌が増加しにくいとか、産後うつ・過労の場合は漢方薬や西洋薬も服用することがあります。









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<結果>

図5


 母乳教室に参加した混合栄養児は10年間で730人でした。
 初診時月齢の平均は1.03ヵ月で、
 0-1ヵ月児が78.8%を占めています。

 母乳栄養のみになったのは614人(85.0%)、
 混合のままは87人(12.0%)、
 人工ミルクのみになったのは21人(2.9%)でした。
(図5・図6、経過不明8人除く)





図6





図7

母乳のみになった611人(不明3人除く)の
人工ミルクを中止できるまでの期間は
初診後1週間以内が216人(35.4%)、
8~29日が155人(25.4%)、
1~2ヵ月が143人(23.4%)、
3ヵ月以上は97人(15.9%)でした。(図7)








<結果>
産科退院後の母乳育児を支援している小児科は極めて少ないので、 母親はほとんど自己判断で母乳トラブル・不安に対処し、母乳率は低下していきます。 母親の意欲と医療者の的確な支援があれば混合栄養児の80%以上は母乳のみの育児が可能になるので、 小児科外来・乳児健診での母乳増量・母乳育児支援が必要です。
 

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