NO.69 2005・11.28    
尿検査について


 おしっこ元気ですか?おしっこは健康をはかるバロメータです。尿は腎臓から運ばれてきます。腎臓から膀胱に運ばれる尿の量は一分間に15滴ほどです。尿が膀胱に半分ほどたまると、(大人の場合約200ml・牛乳瓶1本くらい)おしっこをしたい感じになります。そうすると、括約筋(かつやくきん)がゆるみ、膀胱が引き締まって尿が体の外に押し出されるのです。
 腎臓に何らかの障害がおきると、身体がむくんだり(浮腫)蛋白尿・血尿が出ます。多くの場合食事制限が必要になります。しかも、食事制限をしたからといって腎臓がよくなるということではなく、現状をいかに保持するかということが目的です。けれども、徐々にではありますが悪化していき、ついには腎不全となり人工腎臓(血液透析・腹膜透析)のお世話にならなければならないことになります。それでなお、食事制限と水分制限をして厳しい自己管理を生涯を通して続けなければならなくなります。そういう人々が平成16年で23万人を数えています。ご馳走をお腹いっぱいに食べることができ、飲み物も存分に飲むことが出来る幸せはあきらめなければならなくなります。

なぜ、病気の時に尿検査をするのでしょうか?
 理由は、何の症状もなくても検尿で異常が見つかることがあり、いろんな病気の手がかりとなるからです。腎臓病の大部分は尿に異常を伴っていますから、症状のない腎臓病をみつけるには検尿が特に重要なわけです。腎臓病と言ってもいろいろあり、腎臓結石や急性腎炎などで肉眼的血尿(目で見て血尿と分かる)やネフローゼ症候群で浮腫(むくみ)がある場合、あわてて病院にかけ込みます。しかし、腎臓病のほとんどが無症状であることが多いのです。これをいち早く見つけだす最も簡単で有効な方法が検尿なのです。
 最近の検尿に使われている試験紙はさまざまな検査をしてくれます。検尿の異常=腎臓病ではありません。小児では、オムツをしている0歳児に尿路感染症による発熱が意外に多いことが言われていますが、尿を顕微鏡でみるという、簡単な方法ですぐに異常を見つけることが出来るのです。

尿検査で見つかる尿路感染症について
 原因の分からない熱が5~6日も続いている子がいます。食欲が落ちてだるそうにしているぐらいで目立った症状がありません。(風邪と合併している場合は咳や鼻水という症状はみられますが・・)こんな場合尿路感染症ではないか?と疑ってみます。尿路感染症は大腸菌を始めとする細菌で起こるのが普通で乳児にもみられます。一度かかると再発しやすいとも言われています。見つかった細菌をなくすために抗生物質を飲みます。細菌がいなくなれば治ったことになりますが、調子がよくなっても、もう一回は顕微鏡で視ておく必要があります。

ちょっと特殊な膀胱炎
 子どもにはちょっと特殊な膀胱炎があります。「出血性膀胱炎」と言われるもので、これはほとんどなんの症状もなくいきなり赤いおしっこが出るので本人も周りもびっくりします。ところがこの病気、血尿が派手な割に軽い病気で、放っておいても自然に治ってしまいます。ウイルスによるものと言われています。ウイルスによって起こるものなら自然に治るのも当然なのです。

幼児の膣炎
 子どもに黄色または緑色のおりものがあるとお母さんがびっくりして連れてくることがあります。でも、膣炎は子どもではかなりよくある病気です。大人のようにトリコモナス(原虫という微生物の一種)などでなることは少なく、大腸菌や連鎖球菌などによることが多いのです。かゆい以外にあまり症状もなく簡単に治ります。
         ( 文責:検査技師 山崎 )


10/20(木)第32回保護者講座

「おしっこを調べてみよう!」
 お母さんに自分の尿を採ってもらい、各自で検査しました。顕微鏡を使うのは慣れないと大変ですが、初めてのおもしろい体験をしてもらえたのではないでしょうか。その時、お母さん方に中間尿を採る方法(出始めと終わりは捨て、途中の尿を採取する)を説明したところ良好な採尿ができ顕微鏡でみるととてもきれいに見えました。診察時にみる尿は中間尿がとれていないということがよくわかる結果となりました。病院での検査の時もですが、学校やその他の健診時に採尿する場合、ぜひ中間尿を採ることを覚えていて、子どもさんにも教えてほしいと思います。


こんなお手紙を頂きました。ご紹介します!

Mくんのお母さんより

田村こどもクリニックでは病気の時はもちろんですが、それ以外に看ていただいたり、イベントに参加した際に気軽にいろんなことを相談させていただいたりして、良い小児科に出会えたなぁと感謝しています。
 初めての子育てで、分からないことだらけですが、実家も遠いので何か困ったら友達に聞くか、田村で聞いているような気がします。(^o^)私の育休ライフが楽しく過ごせているのも、田村小児科のイベント(講演、離乳食ランチ、そして子ども連れでも気兼ねなく行ける飲み会!)が、かなり貢献してくれているのではないかと思います。(*^_^*)
 でも、そういった所で皆が集まって子どもの育児方法や悩み事を話し合って情報を交換するのは、すごく大切なことなのですね。話しやすい雰囲気を作ったり、場を提供することは病院でも学校でも大事なのだなぁと実感します。
 何と言っても人と人のつながりがないと子どもを育てることもできないですもんね~。田村のイベントに参加すると、いつも皆さんが声をかけて下さって、スタッフの方々の雰囲気や人柄がいいなぁと感じます。教師でも子どもから見て質問できる雰囲気を持った人とそうでない人もいると思うので、私も復帰したら“黒原先生に聞いてみようっと”と子どもが言ってくれるような雰囲気を持てたらいいなと思います。
私は初めて田村こどもクリニックを訪ねたのが、母乳外来になるのですが、その時奥さんに話を聞いてもらえてどんなに気持ちが和んだことか・・・。それまでちょっとストイックな桶谷式でも、おっぱいがパンパンに張ってしまい、どうしたらいいのか不安で一杯の私に、「良く頑張ったわね。でも、頑張りすぎなくていいのよ。ママも少しは息抜きして焼き肉やケーキも食べないと。ママが楽しいと思っていないと赤ちゃんもパパも笑えないしね。」と声をかけて搾乳をして下さったこと、絶対に忘れません。
 私は一気に涙腺がゆるんで、おっぱいがピューピュー噴水のように出ている中、ポロポロ大きな涙を流し、胸元がおっぱいなのか涙なのか分からなくなってしまいました。人に悩みを聞いてもらえる、ましてお医者さんや助産師さん、そして栄養士さんという専門の方に聞いてもらえる心強さは何よりの処方箋ですよね。ミツキが突然じんましんになったり、熱を出した時もすごく不安な気持ちが田村で話を聞くと、薬も飲ましていないのに、「ミツキはもう大丈夫かな。」と少しホッとしてしまいます。ミツキは○月○日で1歳になりましたが、まだまだ田村でお世話になると思います。大きな病気をすることもなく育ってほしいですが、今後ともどうかよろしくお願いします。


◆◇母乳の会の講演と、保護者講座の感想です。◆◇
11/13(日) 高知母乳の会主催
   「聞いてください。
      子育て世代の生の声」

NPO法人わははネット 代表 
        中橋恵美子さん
3人のお子さんのいる中橋さんの講演は、とても楽しかったです。実際、子育てをしていてお母さんたちの困ったことや悩みを知事に直接話しに行ったことや、子育て応援タクシーをタクシー会社に頼みに廻ったり・・すごい!と思いました。ほんとに、行動力がありびっくりしました。しんどいことも、ユーモアたっぷりに話すので、涙がでそうなくらいおかしかったりしました。
これからも、中橋さんに頑張ってほしいなと思います。

11/05(土)第33回 保護者講座
   「南国市の古代遺跡と戦争遺跡」
埋蔵文化センターの出原さんの案内で南国遺跡めぐりに行きました。空港周辺には弥生時代のものとされる田村遺跡や戦争遺跡として残されている掩体壕、アメリカ軍から襲撃された弾劾痕などがあり、戦争の凄まじさを感じることができました。昔は海岸沿いには松の木が地域のみんなを守っていたけど、戦争により伐採されたなど戦争によって自然を守ることができなかった話など聞くことができました。

11/14(月)第34回 保護者講座
   「母子手帳を見てみましょう。」
母子手帳の歴史、妊娠中の経過等々のお話を聞き、こんな母子手帳の中身と向き合ったのは初めてでした。
 予防接種のページにも毎日指導している立場なのに20数年前の母子手帳を見てびっくり!麻疹、風疹、BCG、ポリオのみの接種でした。なんと手抜きの母親だったと反省です。
 田村こどもクリニック職員一同、母子手帳の思い出作りのお手伝いをこれからも頑張りたいと思います!!

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