NO.75 2006・11.13    
第17回日本外来小児科学会に参加して(横浜)
2006年9月2日~3日    パシフィコ横浜にて

『小児科外来で母乳指導をしてみませんか?』
助産師・看護師 田村
 このテーマでワークショップをもち、リーダーを努めました。このワークショップの参加者は医師・助産師・看護師・保育師・栄養士・受付事務・と外来業務にたずさわる多くの人が集まりました。しかし、母乳に関する情報知識が少ないために充分な支援が行えない事のもどかしさをそれぞれの方が感じていました。ワークショップでは赤ちゃんの抱き方、乳首の含ませ方はこれでいいのか、赤ちゃんがよく泣くが母乳が足りているのか、乳首のはりが弱いがどうすればいいのか、など・・。母親の不安を少しでも軽減でき、そして子育てを楽しんでもらえるよう援助する為に学習会形式をとりました。ワークショップの目的はどう母親に関わり支援するかでしたが、糸口を見つけ日々の診療や健診時に役立てていただけていると信じています。

『すてきなあなたになるために』に参加して
検査技師 公家
 人との関わり、皆さんは一方通行になっていませんか?鳥取大学医学部で、ヒューマン・コミュニケーションに取り組む高塚人志助教授の「すてきなあなたになるために」(心を開き心を結ぶ人間関係づくり)というWSに参加した。大切なのは、「聞くこと」であるという。その基本はホスピタリティ・マインド、相手の立場に立ち心を察しいかに寄り添うか、話し手がいかに気持ちよく話せるようにするか。頭ではないところの、気づきの体験学習によりスキルアップをめざす。鳥大の取り組みは、赤碕高校の9年の取り組みがベースになっている。高校生が医大生が、子供のオムツを換えミルクを飲ませ老人の手を引く、想像してみてほしい。継続性を持たせることで効果をあげているという。時々一般向けのセミナーも開催しているという興味のある方は、参加されたし。すてきなあなたにであえるかもしれない・・・

『母乳育児支援のための口腔ケア』に参加して
栄養士 山崎
 私は、初めての参加でしたが、このワークショップは今回で3回目、このテーマの総仕上げでもありました。
 目的は、母乳育児に始まる食生活において、いかにして食の楽しさや大切さを次の世代に伝えていくかといったテーマで、異なった業種の間にみられる問題点に同じように対処できる方法をプロダクトしようというもので、医師(歯科医・小児科医)言語聴覚士・看護師・助産師・保健師・栄養士の参加がありました。
二つのグループに分かれ、それぞれの立場・それぞれの経験からいろいろな意見が出されました。私達のグループでは、授乳・卒乳・離乳・幼児の食事といった“食”に関して話しあわれ日頃、健診等で栄養指導・離乳食指導をしている私にとっていかに早期に、いかに適切に指導していくかが大切かを再認識させられました。来年のワークショップでは、この“食”に関するテーマでまた新たなワークショップが展開されるとの事で今から楽しみにしています。

初めての演題発表  『当院の採血成功率』
検査技師 山崎
 小児の採血は成人に比べると血管が細い、血管が見えない、じっとしてくれないなどの為失敗する率が高くなります。
 今回の外来小児科学会では、当院で2004年から2005年にかけて採血を行った1520件について調査した結果を一般演題で発表してきました。
 当院の採血成功率は、先生が行う点滴も含めると91.3%で、採血に限れば92%以上の良い成績を全国に発表することができました。何よりも良かったことは、今回調査したことによりできるだけ子どもに負担をかけず、スムーズに採血する方法や、年間を通してみると採血しやすい月、採血しにくい月があること、病態によっては血管が収縮して採りにくくなり、このような場合はどんな対応をするべきかなど、意義深い発表をすることができました。さらに採血向上を目指して頑張りたいと思います。
 大きな舞台での発表は想像以上に大変なプレッシャーでした。例えるなら砂漠に一人で放り出された感じ??不安と緊張で頭はのぼせるし、ノドはカラカラ・・でも終わった時はオアシスにたどり着いたような爽快感!チョットくせになりそうです。

『子どもの絵の読み方と活用法』に参加して
看護師 岩崎
 「子どもは絵を描くのが大好きです。言語発達の未熟な子どもたちが非言語的な媒体を好むのもうなづけます。診察室の机の上のクレヨンと紙を見つけて子どもの目がどんなに輝くかご覧になったことがありますか?」
白川 佳代子医師
 小児科学会で絵を用いることで、子どもの心の内面を想像したり治療的に活用するための方法を探っていくための勉強会の第一歩でした。
 まず描画療法の基本から入り、実際に絵を描く体験(人物画→家族画→動的家族画→木)はり絵(自由に切り抜き貼り付けて仕上げる)を通して絵を読むことのおもしろさや難しさを感じました。自身の作成したものをどんなに読まれるのかドキドキ、ワクワクのひとときでした。子どもは素直に正確にありのままを表現するからその時の心理状態が読める!つかめる!家族のあり方等々手にとるように見えてくることに微笑ましくあり「えっ!」「やっぱり!」と衝撃もあり・・・子どもたちの保育園、幼稚園での作品を見直してみて下さい、楽しいですよ。
この頃お絵かきノートを待合室に置いてみましたがほんとうに楽しそうに描いています。次回もまた一歩進めるように参加したいと思っています。

『クリニックのお悩み解決その1、その2』に参加して
受付事務 石川
 私は、午前(その1)、午後(その2)と参加してきました。6人グループに分かれて、他のクリニックがどのようにしているのか、これはうちだけの事?と日頃悩んだり、疑問に思っていたりすることをざっくばらんに話し合うという形式です。実際に活用できる解決方法を見つけれたらと思っていってきました。
 その中でも①保険証の確認の仕方②電話対応③待合室での対応の3つに、質問や対処の仕方、やり方をそれぞれどのようにしているのか聞き合いました。
 私は、田村こどもクリニックでしているイベントに興味をひかれ、質問攻めに合って、発表してきました。イベントをしている小児科はまだまだ少ないようです。
 今回のワークショップで聞いてきたことをこれからの業務の参考にし、どんどん前向きに励んでいきたいと思います。

こだわりのイメージづくり』に参加して
看護師 萩原
 今回は“こだわりのイメージづくり”というワークショップに参加してきました。全国の外来小児科のスタッフが病院の外観や飾り付け、各病院のイベント紹介や“こんな工夫をしています”こだわっていることなどの発表を聞いてきました。当院では、外観や飾り、イベントで行った地引き網、院長の畑などをアピールしてきました。診察室での、壁飾りを作っていることから他の病院で行っている事などを参考に子どもたちが喜ぶ飾りを作っていこうと思っています。

『楽しい学会=日本外来小児科学会とは?』
院長 田村
 小児科医で、やる気があって、研究もしている、そんな”開業医”が増えてきました。そこで愛媛県の小児科医・徳丸先生の呼びかけで日本外来小児科学会(当初は研究会)が作られました。この会は普通の医学会と違う良い点がいくつかあります。
1.医者以外の参加ができる。
小児科の外来に要る人なら資格は問いません。看護師事務、歯科医、栄養士、検査技師、学生など、会費さえ払えばすべて参加OKです。
2.先生と呼ばない。
 講師・演者・座長・司会などを紹介するときにはどんなに偉い方も全部”さん”で呼ぶことにしています。
3.ノーネクタイが基本。
ざっくばらんに、本音で、みんなで楽しく話しましょう、意見を交わしましょう、という趣旨ですからネクタイは原則禁止です。したければしてもいいですが・・・
4.ワークショップ(WSと略)が中心
学会の特徴は20-30人が3時間話し合うWSがいろんなテーマでいっぱいあることです。硬いテーマが多いのですが、普通の医学会では考えられないものも時々あります。
たとえば今まであったすごいテーマは”小児科外来は患者何人くればやっていけるか?”、”院長婦人の会”、”ヒマな時なにしてますか?”などです。
来年は8月に熊本です。職員の夏休みを兼ねて行ってきます。3日間休診にしますが、小児科外来のレベルを上げる為ですので、よろしくお願い致します。

      

*田村こどもクリニック*
http://www.inforyoma.or.jp/tamkocli/