国土地理院発行の「土地条件図」をご存知ですか?書店で販売されてるだけでなく、インターネットでの閲覧も可能です。被害を拡大させるような土地を選ばない事はとても大切です。次に、住宅の耐震。東大の目黒教授によると、阪神大震災でなくなった方の95%が建物の問題で命を落とし、亡くなった時間帯でみると、発生後わずか14分間の間に92%の方が死に至っているのだそうです。自然現象を止めることはできません。目指すのは減災。「地震動で壊れて死ぬ目に遭うような場所や建物に住まない事」が命を守る事になるのです。

 災害の前後の暮らしで自分や家族がどうなるか、生活に何が必要かを考えるには、自分のライフスタイルを意識するところから始めます。一般的な社会人は、自宅:通勤先:移動=6:3:1程度で、しかも、自宅で大半を過ごす場所は、寝室と居間。お母さんにはプラス台所。「家の中で命にかかわる怪我をしない」ように暮らすために、長時間を過ごす場所の安全確保から始めます(特に、子どもの命を守る人は、決して怪我をしてはならないのです!)。寝室や居間に倒れたら怪我をするような家具を置かない。エアコン本体は地震による突き上げで簡単に落下するし、窓ガラスは地震のゆれで歪んで割れて破片が爆発したように飛び散るので、近くにはベッドやソファーを設置しない(エアコンは落下防止策を施しましょう。また、ガラス破片の飛散はカーテンでかなり防げます)。また、台所の頭より高い場所に鍋や家電など重いものを上げない。冷蔵庫は固定しなければ「体を揺すって歩くように」迫ってきます。日用品の一部を災害時にも使えるものに替えてみませんか(充電式ポータブル照明器具)?まるで,はハイハイを始めた子どもが怪我をしないように、その行動を予測しながら一つずつ生活を変えていくのと同じですね。

 そして、防災専用グッズをそろえる前に考えてみてください。普段使いのストックないで出来る事はたくさんあります。停電になったら明かりや暖をどうやってとるか?食料は、ごはんさえあれば、なんとかなるのではないでしょうか?例えば、野外で火をおこし鍋でご飯が炊けますか?(この日の参加者は全員お鍋でご飯が炊けるそうです!素晴らしい!)日常の食料ストックの範囲内で非常食を考えるなど、一度考え始めたら、進みます。まずは、小さなことで良いから具体的に始めてみることです。今、座っている場所、今夜寝る場所から、普段の生活から変えてみませんか?

 震災後、救助だけでなく物資や医療の手が届くまでにはかなりの時間がかかると思いましょう。最新の研究結果から、次の南海地震が最大級の規模になる可能性が高いとの予測が出始めたようです。そうなると、現在の国や研に乗る被害世族は過小評価であり、西日本の広い範囲が同時期に被害に遭う可能性が高く、救援の手がいつ届くかは検討もつかない状況になるかもしれないのです。津波が来ない場所であれば、水と最低限の食料の備蓄が大事になってきます。

 乳飲み子や小さなお子さんを連れた方は「災害弱者」。援助をより必要とする立場にありながら、避難することができるのか?避難することが必要なのか?避難所で過ごすということはどういうことなのか?一度、避難場所等の相談をかねて、ご家族皆さんで一緒に考えてみてください。

 また、乳児にとって、母乳は最高の防災食です。母乳のお母さんが怪我をしないで普段通りに我が子を守れる事がどんなに大切か言わずもがなでしょう。水分補給と栄養補給が出来るように備えてください。災害時の母乳育児については、『災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会(ラ・レーチェ・リーグ日本、母乳育児支援ネットワーク、日本ラクテーション・コンサルタント協会による)』が、被災後のお母さんたちが安心して母乳育児を続けられるための呼びかけ文を作成し提供しています。参考にしてください。(http://www.jalc-net.jp/hisai.html)
 
 今回池原さんは下のお子さんの授乳をしたり、おんぶをしたりしながら、講演をすすめてくださいました。その姿が、この子ども、そしてそのお母さんや家族と共にどう歩んでいくかという母乳の会そのものだったかなと心に残った定例会となりました。


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