NO.107 2012・08・01 前のページ  次のページ index  top

★鉄欠乏性貧血とは
 赤血球を作る材料である鉄が足りなくなるために起こる貧血です。生後6か月~1歳6か月の乳幼児では約10人に1人ぐらいの割合で起こります。
★予防のためにどうすればよいか

・生後6か月までの乳児期の場合
この時期は、あまり鉄欠乏性貧血にはなりませんが、未熟児で生まれたり、子宮の中で発育が良くなかった場合は、胎児の時にお母さんからもらう鉄分が少ないために鉄欠乏性貧血になることもあります。

・生後6か月~3歳までの乳幼児期の場合
この時期は体重増加が著しく鉄をもっとも必要とする時期ですが、離乳食に含まれる鉄分は不足しがちです。鉄を多く含みさらに腸からの吸収も良いレバー・牛肉・鶏肉・赤みの魚といった食品を離乳食に使うこと、また鉄の吸収を良くするビタミンCを多く含む果物を食べることも大切です。鉄を多く含むベビーフードや幼児向けのお菓子を食べさせるのもよいでしょう。
★気をつけることは
1歳までに牛乳を与えると鉄欠乏性貧血が起こりやすくなるので、1歳のお誕生日まではあまり与えないようにしましょう。

1歳を過ぎても1日に飲む牛乳の量は200ml程度に抑えましょう。
牛乳にはカルシウムは多いが鉄分はほとんど含まれていません。飲みすぎるとおなかがいっぱいになって食事をあまり摂らなくなり貧血になりやすくなります。

母乳栄養の場合、生後6か月以降は鉄分の含量が少なくなります。離乳食に鉄やビタミンCの豊富な食材を積極的に加えましょう。また無理にフォローアップミルクや牛乳に切り替えたり与えたりする必要はありません。お母さんの食事に鉄分が多い食材を摂取するのも良いでしょう。
母乳・牛乳・人口乳の鉄分の吸収率の差
  吸収率 :  母乳・・・49%   牛乳・・・10%   人工乳・・・4%
(母乳中の鉄分は人口乳に比べて量は少ないが吸収は良い)[日本母乳の会『離乳食』より]

●鉄分には2種類ある
    体内への吸収率が・・・・・・15%~25%前後のヘム鉄  /   5%前後の非ヘム鉄
     (吸収率=獣肉23% ・ 魚肉8% ・ 卵黄10% ・ 野菜14%)

※毎日の食事にヘム鉄の豊富な食材(レバー・卵黄・魚など)を中心に、非ヘム鉄を含む食材(きな粉・納豆・大根葉・小松菜・ほうれん草・高野豆腐など)などもバランス良く摂るように心がけましょう。
●鉄分を吸収されやすい形に変えてくれる強い味方

タンパク質    ビタミンC     葉酸     ビタミンB12

これらが多い食品を一緒に食べることで相乗効果がうまれます。

◇タンパク質の多い食品・・・・・・肉・魚・豆腐・たまご
◇ビタミンCの多い食品・・・・・・・ブロッコリー・小松菜・ほうれん草・キャベツ・いちご
◇葉酸の多い食品・・・・・・・・・・・ほうれん草・ブロッコリー・納豆・枝豆
◇ビタミンB12の多い食品・・・・・牛・豚・鶏レバー・いわし・さば・あさり・卵黄・チーズ



※幼児期になると、鉄分の豊富な貝類を使ったみそ汁なども鉄分補給には有効です。ほうれん草などに含まれている「アク」は鉄の吸収を妨げるのでしっかりあく抜きを!!
 また植物繊維の摂り過ぎは鉄の吸収を妨げるので摂り過ぎに注意を!!


おすすめメニュー
  初期 ・ ・ 小松菜と大根のおじや
  中期 ・ ・ 鮭と小松菜のご飯
  後期 ・ ・ 小松菜と玉ねぎのグラタン
★ちょっとひと工夫 ・・・
調理器具として鉄鍋鉄のやかんを使うことをお勧めします!
野菜を少し時間をかけて煮込んだり、酢やケチャップなど少し酸味のきいた調味料を使って煮込むと鉄鍋の鉄分がより溶け出します。

どうだった?保護者講座
2012/6/4(月) 虫歯のない、健康できれいな歯を育てていただくために
 毎回たくさんの方々が参加してくださる人気の講座のひとつです。歯のためのみならず、体のためにも安心・安全な子供のおやつの選び方。いちばんのおすすめは“おにぎり”。ケーキやスナック菓子・あめなど砂糖の甘さではなく、さつまいもやとうもろこし、果物などの食材そのものの甘さを取り入れたおやつにしてほしいと言ったお話。ポテトチップスは肥満やむし歯の原因になったり,よくない成分がたくさんあるので極力与えないでほしいスナック菓子の代表であると言ったお話。ジュースや缶コーヒーに含まれる糖は体のためにも良くないことはもちろん、歯を溶かす作用があるので絶対与えないで欲しい。校医をしている某高校の生徒の葉の根元が溶けだしている写真やたくさんのむし歯の写真を見せられ、参加している方々から驚きの声があっちこっちから聞こえていました。また、マーガリンには体に良くない脂肪分が含まれているので、できればバターに変えてほしいといった事までお話してくれました。食事と虫歯の関係について興味深いお話を他にもたくさんしてくださいました。虫歯の予防もさることながら、じょうぶな体、健康な体のための食事、食材選びなど歯医者さんでありながら、食の専門家のようなお話にびっくりさせられました。最後に、あれもダメこれもダメでは食べる楽しみがなくなるのでたまには“ご褒美”も必要!!…との事でした。今回受講できなかった方、次回はぜひ“生で”聞いてみてください。今回の資料が欲しい方は受付に声をかけて下さい。

山崎(栄養士)

2012/6/25(月) お薬の飲ませ方
 「薬を口に入れたら吐き出してしまう」「嫌がって飲んでくれない」「口も開けてくれない」などのお母さんの声を聞くことがあります。薬を飲むという事は、命を救うというだけでなく、少しでも早く、少しでも楽に不調を乗り越えていく応援団の役目もあり大切です。当院では最初に、水薬は小さな杯状の容器に測って入れる、粉薬はごくわずかな白湯で溶いて、赤ちゃんであれば団子状にして頬の内側や口内の天井部分に付け授乳する(白湯を飲ませる)、またはスポイドやスプーンを使って短時間少ない回数で飲み終わらせる等の方法をお話します。どうしても飲めない子には、クラッカーやビスケットを一口入れ、噛んでもらった口の中に薬を入れて一緒に飲み込むなどの方法もあります。薬は、一回の分量がきちんと体に入ることが大切ですので、すぐに吐き出してしまった場合などは、次の分を使いもう一度飲みます。お母さんの気持ちが原動力になりますので、笑顔の奥に「薬を飲ませるぞ!」と強い気持ちをもって向き合うのも大切です。家でどうしても薬を飲まない・飲めない等お困りのことがありましたら、薬を持ってクリニックにいらしてくださいね。一緒に飲ませます。

石田(看護師)

2012/7/26(木) 喘息教室
 喘息の治療には発作のときの治療と、発作を起こしていないときの予防の治療が必要です。何かあれば病院で診てもらえばよい・・・という病気とは、チョット違っています。自分の喘息の様子を理解し、発作が起きても自分ですぐ治せるようにトレーニングすることが喘息を大人まで持ち越さないためにとても大事なことになります。出席者はそのことをよく理解して熱心に勉強していたので、見ていて感動でした! 家庭にいても、学校生活の中にいても、不安なく薬を上手にコントロールしながら、だんだんと病気とサヨナラできたらいいですネ!! そうなるために、私たちも力を尽くしたいと思いました。今年も7月26日を待っていてくれた沢山の患者さんに、普段の診察では出来ない肺機能の詳しい検査や、自宅で使用している吸入器の点検もしました。意外と汚れや壊れた状態に気が付かず使っている人がいます。 メーカーの方の話によると、年に一回キチンと点検を行っている病院は全国的にも珍しいそうです。 ずっと続けていこうと思います!

山崎(検査技師)

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*田村こどもクリニック*
http://www.inforyoma.or.jp/tamkocli/