☆でも開業して
どんなに人工ミルクを足す産科でも、助産師がいない産科でも、調乳指導で母乳の止まる方法を教えられても、30-40%の母親は母乳のみで育てているのに気付いた。母乳哺育の方法なんて誰も教えてくれず、テレビでも映画でも泣く子には哺乳ビンで人工ミルク。乳首からは血が出るし、乳房は乳腺炎で痛くなるし、夜は何回も泣かれるし。
それでも約三分の一の母親は母乳のみで育てているなんて、これは逆だ、母乳育児を守っているのは母親だったのだと、ようやく気が付いた。

☆産科医も大変
母親と言ってもピンからキリまでいる。望む妊娠をして、良いお産をして、愛情を持って育てる母親がいる。一方で、仕方なく産んで、自分の子をかわいいと思えず、育てる気も技術もない母親もいる。と考えたら産科の医者も大変だ。生まれて1週間で母子を退院させて赤ちゃんは大丈夫なのか、人工ミルクででも体重を増やして退院させたら人工ミルクなら母親以外の家族が世話もできるし、と考えてもしかたない、か。

☆誰が母親を援助するのか
 妊娠中と出産後、産科医・助産師が母乳を含めて母親の世話をする。よくすれば結果として、出産退院時90%以上の母乳率になる。だが母乳育児はこれで終了ではなく、始まったところだ。少なくても後1年間、WHO推奨だと2年間の母乳育児が続くのである。母乳のトラブルはなんぼでも起こる。乳房の専門家って医者では外科って、知っていました? でも授乳中の母親が母乳育児のトラブルで外科の医者にかかるはずはないよね。母乳の専門家が助産師とは知らないし、知っていても子供を産んだ母親が一番行く病院・科は小児科です。相談するのは友達=母親、うまくいけば助産師です。

☆だから
 子供を産んだ母親と出会う人はみんな母乳育児のことを知っておきましょう。生まれて・産んで1-2年間、母と子の蜜月を支えてあげましょうよ。その支援の中心を母乳育児において、自分の経験からだけでなく、科学的に、一般的に、国際的に、具体的にどう対処したらいいのかを勉強しましょう。困った時相談できる人をつくりましょう。母親を紹介する連絡網をつくりましょう。その為には高知母乳の会定例会においで下さい。11月18日の瀬尾先生講演会にご参加下さい。瀬尾先生のお話を聞いたら少なくともひとつ賢くなります。あなたの力量が少し増えること間違いなしです。さらに、今回会員は参加費無料にしましたし。

高知母乳の会事務局・田村保憲(田村こどもクリニック)


● 第23回定例会報告 ●●
 7月22日(日)、国立病院機構高知病院で開催されました。「当院の母乳栄養の現状」というテーマで、小児科の高橋芳夫先生を中心に国立病院スタッフの方々から母乳栄養の現状や施設での取り組み、今後の課題についての発表がありました。
(1)出生早期からのカンガルーケアの導入
(2)早期からの母子同室の推進
(3)糖水補給の中止
(4)母親教室での母乳育児推進
(5)助産師外来開設 

 上記の取り組みの結果、1ヶ月健診時の母乳栄養率では母乳のみの率が2002年34.3%→2007年65.9%と、年々増加傾向であるというデータを紹介してくださいました。中には、助産師がお産をして母乳育児を実践していた期間の母乳率が特に高く、周囲の母親への影響が大きかったことが示唆されるというエピソードもありました。
  国立病院で助産師として勤務されている伊野部さん、小松さんからはご自身の母乳育児体験をお聞きすることができました。
当日の参加はお子さん4名を含め20名。助産師外来の運営や健診時の医師・助産師の役割、母親の不安に対する関わり、今後さらに母乳栄養率を増加させるにはなどについて意見交換がなされました。
  高知県下でも数多くのお産を扱う医療機関の中で母乳育児支援に関わっている国立病院スタッフの方々の熱意が伝わってきました。


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