NO.83 2008・03.24         

補完食について
 従来、日本では離乳食といった名称で表現されておりましたが現在、世界保健機構(WHO)はいわゆる「離乳食」という表現に対し「補完食」という言葉を提唱しています。これは、「母乳育児期間中に児が母乳以外に摂取する栄養は、母乳と置き換えられるものではなく、補助・補完するものである」との考えに基づいています。定義として「母乳だけでは乳児の栄養所要量が満たされなくなり、母乳を飲ませつつ母乳以外の固形物や液体によっても栄養をとることが必要となり始める過程」としています。
 対象年齢は一般的に生後6ヵ月~2歳くらいまでとされています。また母乳の栄養は生まれて1週間後に飲ませたものと1歳6ヵ月頃飲ませたものとでは、ほとんど変わりなく薄くなったりはしません。できるだけ長く飲ませることをおすすめします。

○ 補完食開始の目安は・・・
2005年厚生労働省の行った調査では離乳食を始めるきっかけは「○ヵ月になったから」が75.8%で最も多く、次いで「食べ物を欲しがるようになった」が47.5%、「体重などの発育増加」が16.8%となっています。ちなみに2005年のデータでは生後5ヵ月以降に開始したとの回答が84.4%となっています。当院では児の体重増加・月令も含めて個々の成長に応じて開始時期を指導しており月令では6ヵ月からが多くなっています。

○ 進め方の目安として・・・
食べ方の目安は、
初期(5~6ヵ月頃)では1日1回子どもの様子を見ながら少しずつ与え(食べさせ)、母乳やミルクはこれまでと同様飲みたいだけ与えます。
中期(7~8ヵ月)では1日(1~)2回食にして、いろいろな味や舌触りを楽しめるよう、食品の種類を増やしていきます。
後期(9~11ヵ月頃)では食事のリズムを大切に して1日(2~)3回に進めていきます。家族と一緒に楽しい食卓体験をします。
完了期(12~18ヵ月頃)1日3回の食事として生活リズムを整えます。子供も自分で食べ物を手づかみで食べたりし始めます。

○ 調理形態として

初期では、口に入った食べ物が口の前から奥へと少しずつ移動できるようななめらかにすりつぶした状態(ポタージュくらいの状態)にします。
中期では、舌でつぶせる固さ(豆腐くらいが目安)にします。つぶした食べ物をひとまとめにする動きを覚え始めるので、飲み込みやすいようにとろみをつける工夫も必要です。
後期では、歯ぐきでつぶせる固さ(指でつぶせるバナナくらいが目安)にします。
完了期では、歯がはえてきますので、歯でかみつぶせる固さ(肉だんごくらいが目安)でも良いでしょう。

 食事の量や形態はあくまでも目安であり、子どもの食欲や成長・発達の状況(歯のはえ具合)に応じて調整してあげましょう。成長の目安として、成長曲線グラフに体重や身長を記入して成長曲線のカーブに沿っているかどうか確認するとわかりやすいです。

○ ベビーフードについて
ベビーフードの生産量がここ10年間、レトルトを中心に著しく増加しています。レトルトはお金がかかるし、愛情面でも手作りのほうが良いのですが、自分では作るのが面倒だったり、作り方が分からなかったりします。レトルト食品は簡単、便利ですし、味や健康・栄養面、安全・衛生面では手作りのものと大差ないものもあるようですので使ってみてもかまいません。けれど、離乳食を作っていくことでお母さんらしくなっていきますので、レトルト食品を使いすぎないよう上手に使うことをおすすめします。
  
    

田村こどもクリニック 栄養士 

      

*田村こどもクリニック*
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