最近安易に人工ミルクを足す傾向が多くみられます。人工
ミルクを足している方の大部分は人工ミルクは必要でなかった方です。
育児の第一歩は母乳です。そして子供を生めば母乳は必ず 出ます。母乳が出なくなる一番の原因は人工ミルクを足すことです。人工ミルクを足したくなったらできるだけ早く当院にご相談ください。助産婦と一緒に必ず母乳を出すようにします。
以下に母乳の良い点を箇条書きにしています。ご参考にしてください。
赤ちゃんにとって良い点
☆前提 最も大切な事は『母乳で育てよう』と思うことです。これがなければ母乳は出ません。
自然のなりゆきでは、母となる女の人は妊娠すれば“母乳で育てよう”と思うのですが、乳房がsexの道具だけの認識なら『母乳で育てよう』とは考えないので、困っ
てしまいます。
☆本当は母乳の出は産科のやり方で9割方決まります。ですから本当は産科の先生に母乳を しっかり出すようにしてもらえたら、母乳は良く出るようになるのですが、多くの産
科では分娩後、“お母さんを楽にすごさそう”として、母乳を止める飲ませ方をしてしまいます。
それでも当院に早い時期(できるだけ1カ月以内)に来てもらえたら、母乳を出しやす いのですが、何ヶ月も人工ミルクだけにしていると、赤ちゃんがお母さんの乳首を忘
れますので、吸ってくれなくなります。
そうなると母乳はあきらめざるを得ません。
☆ポイント3つ
1. 1日10回以上飲ますこと
母乳は出るから飲ますのではありません。吸わすから出るのです。乳首を吸われる と“お乳がいる”と感じて母乳をつくるのです。ですから母乳の出が少ないと思ったら、飲ます回数を増やして下さい。
母乳だけの人が1日8~10回は飲ますのですから、 それ以上の回数吸わして下さい。1回に吸わす時間は片方5分間でかまいません。
2. 水分をよくとること
母乳は一日に600~800ccも出ます。栄養は妊娠中にお母さんの体に皮下脂肪として ある程度たくわえていますが、水分のたくわえはありません。水分摂取の目安は、自分が必要な量プラス1リットル(1000cc)と思って下さい。カフェインやアルコールは 身体から水分を出す作用があるので、少しならかまいませんが、大量に飲むのはダメ です。牛乳は脂肪分が多いので水分の代わりにはなりません。水分不足の目安はお母さんの便秘です。便が硬いようなら水分不足です。
3. 昼寝をすること
睡眠不足や過労になると母乳は出ません。夜中も2~3回飲ませるのですから、昼間子供といっしょに昼寝をしましょう。生後1~2ヶ月は赤ちゃんの生活パターンに、こ ちらの生活を合わせるのです。そして寝ると身体だけでなく、育児疲れの心も休まり ます。
☆その他の要素
・毎回、母乳の後ミルクを足すという方法は母乳を止める方法と思って下さい。この やり方では人工乳首の方が楽に吸える為、本当の乳首を吸わなくなり、母乳は約1ヶ 月で止まってしまいます。
・医者に“体重増加が少ないので人工ミルクを足しなさい”と言われた時は、母乳を 増やす方法を聞いて下さい。母乳を増やす方法を知らないから“人工ミルクを足せ” と言うのです。母乳に関しては助産婦が専門家です。
・母乳は個人差が大きいものです。その上に赤ちゃんの月齢によって吸い方や泣く原 因も様々です。当然、対処の仕方もいろいろです。ちょっとした“こつ”や“発想のヒント”もあります。ひとりで判断しないで、気軽に相談に来て下さい。それを援助 する為に乳児医療は無料になっているのですから。
赤ちゃんが泣く原因
母乳が出なくなったと言うお母さんのほとんどが、泣くから人工ミルクを足し、足したから母乳が出なくなっています。赤ちゃんが泣く原因は空腹だけではありません。赤ちゃんが泣くときは以下の事に注意してください。
母乳教室
“母乳で育てたいが、私は母乳が出ない”と思っているお母さんが多いのですが、大半は母乳を止めるような飲ませ方をしています。当院では、母乳で育てたいお母さんの為に、母乳の良さを知ってもらい母乳を出す方法を指導していきます。助産婦や他のお母さんといっしょに、母乳で育児を楽しみましょう。当院では月1回(原則として第2月曜日)母乳教室をしています。御参加ください。
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